Apple、EUのDMA提案に「Metaにアクセスを許すのはプライバシー上のリスク」と反論
Appleは、欧州委員会によるDMA関連の提案草案公開を受け、この提案に対応する報告書を公開した。DMAのインターオペラビリティ要件自体は支持するものの、Metaにアクセスを許すのはリスクだと反論した。
米Appleは12月19日(現地時間)、欧州連合(EU)の欧州委員会が同日公開したデジタル市場法(DMA)に基づく提案草案を受け、この提案に対応する報告書(PDF)を公開した。
欧州委員会は6月、AppleがDMAに反している可能性があるとして予備調査を行った。その結果、iPhoneやiPadOSの機能をサードパーティ製端末やアプリに開放し、相互運用性を高めるよう要求している。
具体的には、接続端末(スマートウォッチやヘッドホンなど)との相互運用性に関する仕様策定手続きと、サードパーティからのインターオペラビリティ(異なるシステムやサービス間で相互に連携できること)要求プロセスに関する仕様策定手続きが進行している。
Appleは、文書で、DMAのインターオペラビリティ要件自体は支持するものの、ユーザーのプライバシーとセキュリティを保護する方法で実装されなければならないと主張。一部の企業がDMAのインターオペラビリティ条項を悪用して、ユーザーの機密データにアクセスする可能性があるという懸念を表明した。
特に米Metaは、メッセージング、AirPlay、App Intents、CarPlay、Bluetooth接続端末、Wi-Fiネットワークなど、広範囲にわたるAppleの技術スタックへのアクセスを要求している。Appleは、これらの要求を認めた場合、ユーザーのメッセージやメール、通話履歴、アプリの使用履歴、写真、ファイル、パスワードなどにアクセスできるようになり、ユーザーのプライバシーが侵害されると警告した。
Appleは、DMAの要件を順守するためにすべての要求を慎重に検討し、ユーザーを保護しつつ実装できる場合は要求に応じるとしている。
欧州委員会は草案を公開しており、2025年1月9日までにパブリックコメントを受け付けている。最終決定は3月中旬頃になる見込みだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
EU、AppleにiPhoneとサードパーティ周辺機器との相互運用性改善を指示
欧州委員会は、DMA(デジタル市場法)の下、iPhoneやiPadと連携するサードパーティ製端末との相互運用性を改善するようAppleに強制する手続きを開始する。半年以内に予備的な調査結果をAppleに送る計画。
EU、AppleにDMA(デジタル市場法)違反の「予備的な異議告知」 新たな違反調査も
欧州委員会は、Appleがアプリストアのルールでデジタル市場法に違反している可能性があるという「予備的な異議告知」を送ったと発表した。また、Appleが提示した新たなルールについての調査も開始した。
EU、MetaにもDMA(デジタル市場法)違反の「予備的な異議告知」
EUの欧州委員会は、6月のAppleに続けてMetaもDMA(デジタル市場法)に違反している可能性があるという予備的見解を発表した。Metaが昨年11月から欧州で展開している広告モデルがユーザーに二者択一を迫っているとしている。
欧州委員会、DMA(デジタル市場法)の「ゲートキーパー」6社を発表 Apple、Googleなど
EUの欧州委員会は、IT大手規制法のDMA(デジタル市場法)の下、他社参入を防いでいる「ゲートキーパー」と認定した6社を発表した。

