欧州委員会、DMA(デジタル市場法)の「ゲートキーパー」6社を発表 Apple、Googleなど
EUの欧州委員会は、IT大手規制法のDMA(デジタル市場法)の下、他社参入を防いでいる「ゲートキーパー」と認定した6社を発表した。
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は9月6日(現地時間)、IT大手規制法の「Digital Markets Act(DMA:デジタル市場法)」の下、独占的なデジタルプラットフォームを運営する(他社の参入を防いでいるというような意味での)「ゲートキーパー」6社を発表した。
米Alphabet、米Amazon、米Apple、中国ByteDance、米Meta、米Microsoft(アルファベット順)の6社がゲートキーパーと指定された。
8種のプラットフォームと対象となったサービスは以下の通り。
- SNS:TikTok、Facebook、Instagram、LinkedIn
- メッセージングサービス:WhatsApp、メッセンジャー
- 仲介サービス:Googleマップ、Google Playストア、Googleショッピング、Amazonマーケット・プレイス、Apple App Store、Metaのマーケットプレイス
- ビデオ共有:YouTube
- 広告サービス:Google、Amazon、Meta
- Webブラウザ:Chrome、Safari
- 検索サービス:Google 検索
- OS:Android、iOS、Windows
該当企業はなかったが、この他に「クラウドコンピューティングサービス」と「仮想アシスタント」もコアプラットフォームとされている。
なお、MicrosoftのBing、Edge、広告サービス、AppleのiMessageはリスト上にないが、欧州委員会はこれらについても規制基準を満たしているかどうか評価中だ。
ゲートキーパーとして指定された企業は、2024年3月までにDMAに基づく義務を順守し、解決策の詳細を記載した順守報告書を提出しなければならない。
ゲートキーパーが義務を順守できていないと欧州委員会が判断した場合、その企業に対し全世界売上高の最大10%までの罰金を科す。
ゲートキーパーの要件は専用サイトで説明されている。
Googleはこの発表を受け、公式ブログで「われわれの目標は、ユーザー体験を保護し、欧州の人々に役立つ革新的で安全な製品を提供しつつ、新たな要件を満たす変更を行うことだ」と語った。
Appleは米Reutersに対し、DMAが自社サービスのプライバシーとセキュリティに与える影響について懸念を表明しつつ、「こうした影響をどのように軽減し、欧州の顧客に最高の製品とサービスを提供し続けるかに焦点を当てていく」という声明文を送った。
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