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「文学フリマ」の盛況を支える“KDP出版”とは? リスクを抑えながら自費出版する仕組みと楽しみ分かりにくいけれど面白いモノたち(7/7 ページ)

文学作品の展示即売会「文学フリマ東京」が、39回目にして、ついに東京ビッグサイトでの開催となった。大盛況の内に終了したのだが、私にはこのイベントが、新しい電子出版の最前線のように見えた。

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作って売ってみて初めて分かること

 こうして見ると、個人が紙の本を作って売るというのは、IT的というか、ほとんどDXだということが分かると思う。個人が本を作って売ることのハードルが、今やこれだけ下がっているというのは、多くの人に知ってほしいと思うのだ。とにかく、書きたいことがある人、昔書いた原稿がある人、なにより、雑誌やWebなどに山ほど原稿を書いているライターのみなさんは、自分の原稿を、編集して本にするという作業をやってみることをお勧めする。

 作って売ってみると、本の正体が分かるし、出版社やメディアとのつき合い方も変わってくる。なにより、本を作ることはもちろん、自分の本を目の前で手に取ってもらって、パラパラと読んでいる姿を見守って、「1冊ください」と言ってもらえる喜びは、文章を書いている人なら、一度は体験しておくべきだと思う。


自分の本が刷り上がってきた時の喜びは、商業出版以上のものがある。作業は電子書籍製作と変わらない、ほぼフルデジタルだから、これを「電子出版」と呼ぶのは何も間違っていないだろう

 今回の文学フリマ用に作った私の本、「Books and Bites 本を読んだら食べたくなって」は、紙の書籍はAmazon、PDF版はBOOTHで販売中。江戸歌舞伎の作者鶴屋南北の戯曲を読みやすく小説形式にして復刻した文庫本「菊月千種の夕暎」は、書籍版をBOOTHBASEで買えます。今の自主出版がどういう感じなのかのサンプルに、読んでみてください。

 また、このようなムーブメントの只中で、「軽出版」という言葉を発明し実践している文芸評論家、仲俣暁生氏の「もなかと羊羹」は、自分で本を作ることの意義と運動について書かれた、現代の手引書です。自主出版に興味がある方は、是非、こちらも手に取ってみてください。BOOTHBASEで購入できます。

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