悩ましき“充電器ガチャ”との闘い――納車4年目のテスラで挑む、「横浜→岡山」往復1500km旅【前編】:走るガジェット「Tesla」に乗ってます(5/6 ページ)
納車から3年以上が経過したModel 3を駆り、横浜と岡山の往復約1500kmの旅にチャレンジしてみました。EVでの長距離旅に不安をお持ちの方もいるようなので、経路充電にまつわる悲喜交々やエネルギーコストを中心に、前編・後編の2回に分けてお伝えします。
バッテリー残29%では「空」も同然?
「電気が29%『しか』ないのは不安だ」というのです。らくらくスマホユーザーの彼女は、デイサービスやデパート等へ買い物に出掛けるときであっても、スマホのバッテリーが60〜70%を切ったことがないらしく、彼女からすると29%など「空」も同然のようで、「何か不測の事態があったらどうするのか」というわけです。
筆者としては、用事を済ませた帰路、岡山駅近くでの買い物ついでに岡山SCで10分くらい必要最低限を充電してから実家に帰ればいいと軽く考えていただけに、バッテリー残量について一般的な受け止め方の違いを改めて認識した次第です。
結局、翌朝は墓参りの前に、必要最低限ではなく十分に充電するということで納得してもらい、朝一番で岡山SCに立ち寄り、SOC24%から80%まで25分かけて充電しました。
前回、愛車で岡山を訪れたときには、最寄りのSCは隣の倉敷市にしかなく、岡山SCは存在しませんでした。旅先の行動拠点付近にSCが新設されると利便性が増します。
プレコンディショニングで充電効率を最適化
前編の最後に、往路と復路(詳細は後編で解説予定)も含めた充電量やコストに関するデータを表にまとめたのでご参照ください。項目トップの「自宅充電」のデータは、鈴鹿PAまでの消費分や電費データを元に算出しています。その他の各経路充電については、それぞれの拠点の充電量や料金を元に次の充電拠点までの電費を参考にして算出しました。
「ガソリン換算」の項目は、燃費13km/Lで1リットル186円で計算しました。以前、Teslaの公式レポートにおけるLCA(Life Cycle Assessment)評価のベンチマークにBMW 3シリーズがあったので、BMW JapanのWebサイトに記載された3シリーズのWLTCで算出しました。186円/Lは、資源エネルギー庁の2024年11月のレギュラーガソリン全国平均にハイオク分11円を上乗せしたものです。
「燃料代節約」の項目では往復の路程全体では、ガソリン換算で8532円の節約を実現していますが、低出力に泣いた勝央SAのCHAdeMO充電では、マイナス276円とガソリンより高額になりました。時間課金による低出力器の不条理が露呈した格好です。その一方で、単価の安い自宅充電では、ガソリンより4分の1程度のコストを実現しており、深夜料金による自宅充電はまさに神です。
各単価に着目すると、鈴鹿PAと勝央SAの充電量や単価が異なるのは、前述の通りですが、Tesla専用のSCにおいて、単価、航続距離、充電時間が一定でないのは、プレコンディショニングの有無や充電上限設定に伴う効率の差異が影響しているものと思われます。
プレコンディショニングとは、効率よく充電を行うために移動中にバッテリーを適温にしてくれる機能です。ナビで目的地をSCに設定するとModel 3が自動的に行います。その分電力を消費するのですが、充電時の効率性を優先させ時短=コスト低減を実現することが可能です。
例えば、岡山SCのコストが73円/kWhと他の2つのSCと比較して高いのは、実家から岡山SCまでの移動距離が約20分と短いために、十分なプレコンディショニングが行えなかったことが原因として考えられます。朝だったので気温が10度前後と低かったことも影響しています。
実際、上の表に示した神戸北や遠州森町SCに向かう道中では、バッテリー残量との兼ね合いで到着予定時間の1時間以上前から、プレコンディショニングが始まっていました。
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