遺伝子検査企業の23andMeが破産申請 「顧客のDNAデータ保護に変更はない」と強調
遺伝子検査企業の23andMeは、日本の民事再生法に相当するチャプター11の手続きを開始した。共同創業者のウォジスキーCEOは辞任し、独立入札者として同社を買収する意向を表明した。
米遺伝子検査企業の23andMeは3月23日(現地時間)、米ミズーリ州東部地区破産裁判所に連邦破産法第11章(チャプター11、日本の民事再生法に相当)の適用を申請したと発表した。事業価値を最大化するための売却手続きを促進するため、としている。
同社は、遺伝子検査キットの需要低迷と2023年に発生した大規模なデータ侵害により、経営状況が悪化していた。
破産手続き中も通常の事業運営を継続するという。また、顧客データの保管、管理、保護の方法に変更はないと強調しており、データプライバシーに関する透明性を維持する方針を示している。
今回の破産申請に先立ち、共同創業者であるアン・ウォジスキー氏はCEOを辞任した。同氏は、取締役会の特別委員会による買収提案の拒否を受け、「独立した入札者として会社を買収するために最善の立場となるため」辞任したとXへの投稿で説明した。
この発表を受け、米カリフォルニア州司法長官は23andMeを利用したことのある州民に向けて、自身の遺伝子データの削除を検討するようConsumer Alert(消費者向け警告)を発した。
23andMeは、2006年に米Googleなどの出資により創業した。顧客の唾液を使って祖先を調べる家庭用遺伝子検査キットで知られる。現在は北米、英国、欧州でサービスを提供している。
2021年に上場した後、一時的に評価額が60億ドルに達したが、その後、利益を上げることができず、評価額は5000万ドルに急落した。2023年のデータ侵害の際に約700万人の顧客のデータを保護できなかったとして2024年9月に3000万ドルで訴訟を和解し、11月には従業員の40%を削減すると発表した。
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