日本でも公開された「Apple Intelligence」 キモは“要約”にあり オンデバイスAIだからできること(1/2 ページ)
4月1日、日本でもApple Intelligenceが広く使えるようになった。重要なのは、「そこでなにが便利なのか」という点だ。Apple Intelligenceの機能を紹介する記事は多いが、実は「それなりに長く使ってみないと価値が見えてこない」ものもある。そしてそれは、現時点でのApple Intelligenceにおける、最大の価値でもあったりする。
4月1日、日本でもApple Intelligenceが広く使えるようになった。重要なのは、「そこでなにが便利なのか」という点だ。
Apple Intelligenceの機能を紹介する記事は多いが、実は「それなりに長く使ってみないと価値が見えてこない」ものもある。そしてそれは、現時点でのApple Intelligenceにおける、最大の価値でもあったりする。
この機能からは、「個人にとってのAIの価値とはなにか」を考えるきっかけも生まれるだろう。
なお、本記事は報道用に許諾を得て、Apple Intelligence日本語版を搭載したiOS 18.4/iPadOS 18.4/macOS Sequoia 15.4の開発途上版を利用している(執筆は公開前)。
AIでの「通知要約」が圧倒的に便利
Apple Intelligenceに搭載される機能は多数ある。AppleのWebでも宣伝されているのは、文章を生成・要約する「作文ツール」や、画像を生成する「Image Playground」などが目立つ機能で、筆者も記事などで紹介してきた。
一方で、これらの機能が多くの人に「ガッツリ刺さる」のかというと、やや微妙であるようには思う。
確かにそれぞれは便利なものだ。必要な時は確実にある。しかし、毎日大量に使うかというと、そうでない人も多いだろうと思う。
一方、「毎日使い、確実に便利」な機能もある。それが「メールや通知の要約」だ。
例えば以下は、ある日の通知画面だ。筆者の日常そのものであるので、複数のモザイク処理が入っていることをご了承いただきたい。
複数の通知内容がアプリごとに要約され、「いい感じ」にまとめ直されているのが分かるだろう。
この機能は、それぞれの機器にインストールされたアプリが出す「通知」で自動的に働くもの。要約精度の問題からAppleの「News」アプリは非対応となっているものの、Newsアプリ自体が日本では運用されていないので、大きな違いはない。
その性質上、アプリの通知がたまってこないと動作が見えづらいので、Apple Intelligenceをオンにしてもすぐには変化が分かりづらく、数日以上経過すると目立つようになってくる。
中でも有効なのが、メールやメッセージング系アプリの「まとめ」だ。前画像にもFacebook Messengerの通知がまとめられているが、ちょっと見ていない間になにがあったかを把握できて便利である。
そして「メール」アプリでは、通知を含めた要約はもっと便利になっている。
以下の画像は、Mac上で新着メールが通知された時のものだ。
2件の通知があるが、よく見ると2つのグループに分かれている。これは時間差によるものでもあるが、送信元情報をベースに「関連する複数のメールにどんな内容が含まれているか」をまとめて要約してくれているのである。これは非常に分かりやすい。
次に、「メール」アプリ自体を見てみよう。
件名の部分にご注目いただきたい。
一見今までと同じに見えるが、メールの件名にあたる部分は、単にメールのタイトルをそのまま表示しているのではない。メールの件名と内容から作った要約が、「件名」欄に納まるようにまとまっているのだ。
しかも、前述のように、同じ送信元によるメール(返信でまとめてスレッド化されたもの)は、内容がまとめて要約されている。
だから、ここの部分を見れば、どんな用件に関するメールかが非常に把握しやすい。
次の画像は、件名部分を拡大したものだ。
一番上にあるサムスンの告知メールもうまくまとめられている。しかし、前の画面を見ればお分かりのように、メール本文はHTMLメールで、タイトルや文面の冒頭だけでは内容が分かりにくい。この要約機能はちゃんと「メール本文全体」を見て、分かりやすい内容へとまとめなおしてくれているのが分かる。
参考までに、同じメールをGmailで見た画像も示しておく。こちらはメールのタイトルをそのまま表示している。これでも分かりやすくはあるが、要約のあるAppleの「メール」アプリの方が視認性は高い。
こうしたことは、Apple Intelligenceをオンデバイスで動かしているからできることだ。メールの内容は極めてプライベートなものだが、データが外に出て行かないオンデバイスAIなので、プライバシーや内容の漏えいを気にすることなく、メールの要約ができるのだろう。
筆者はこれまで、iPhoneやMacの上でも「メール」アプリはあまり使わず、Gmailを主に使ってきた。
しかし現在は、要約機能があまりに便利なので、「メール」アプリを併用するようになっている。
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