届くはずのコメが半分に? 返金を選ぶと追徴課税の可能性──吉備中央町ふるさと納税で起きたこと(2/2 ページ)
岡山県吉備中央町のふるさと納税で、返礼品としてお米を受け取る予定だった人たちが、理不尽にもみえる二択を迫られて憤っている。
原因は米価高騰ではなく支援金?
この騒動に先立つ4月8日、NHKが吉備中央町の返礼品調達費用が上限の3割を超えていると報じた。同町は生産者に対し、お米の代金の他に「支援金」を支払っており、これを加えると返礼品の調達費用は41%に上るという指摘だ。
総務省が吉備中央町に説明を求めたところ、4月16日付で回答があった。これによると、支援金は「吉備中央町ふるさと米出荷農家奨励金」という名称で、前述の「米づくり農家応援事業」の一環として給付していたもので、吉備中央町としては「農家に対する様々な補助金項目の中の一つ」と位置づけ、ふるさと納税の寄附金事業とは切り離しているつもりだった。
しかし支援金はふるさと納税の返礼品となる米を出荷する農家のみが対象で、金額は返礼品となる米の出荷量に応じて決めていた。今年2月には、岡山県から「誤解が生じることのないよう、米の買取方法について検討いただきたい」とクギを刺されたという。結局、吉備中央町は今年度の支援金を廃止している。
総務省への回答は4月16日付、ふるさと納税を利用した人に吉備中央町が送った封書は17日付、総務省が回答を公開したのは18日。これらを踏まえると、なぜ昨年度中に確保していたはずの返礼品が半分になるのか、なぜ直前までは普通に発送されていたのかも推測できる。ふるさと納税の利用者は、米価高騰の影響というよりは、支援金を巡るゴタゴタの余波を受けたといえそうだ。
総務省は、吉備中央町の回答を踏まえて対応を検討中。村上誠一郎総務大臣は22日の閣議後会見で「ふるさと納税制度は、公金を使用した公的な税制上の仕組みにほかならず、基準に違反して返礼品を調達・送付してまで寄附の募集が行われたとすれば、それは由々しき問題」と指摘。厳正な対処を検討していくとしている。
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