旧ソ連の金星探査機「コスモス482号」、今週末にも大気圏へ突入か NASA発表
NASAは、旧ソ連が1972年に打ち上げた金星探査機「コスモス482号」が、5月9日から11日の間に地球の大気圏へ再突入する可能性があると発表した。設計上、機体の一部が燃え尽きず地表へ落下する可能性もあるという。
米航空宇宙局(NASA)は、1972年に旧ソ連が打ち上げた金星探査機「コスモス482号(Cosmos 482)」について、今週末にも地球の大気圏へ再突入する可能性があると発表した。構造上、機体の一部が燃え尽きず地表に達する可能性があるとしている。
コスモス482号は、金星への着陸を想定した無人探査機として打ち上げられたが、ロケットの不具合により地球周回軌道から離脱できなかった。その後、楕円軌道で地球を周回し続けていたが、時間とともに軌道高度が低下。5月10日頃に、大気圏に突入すると予想されている。
金星の大気圏への突入に耐えるよう設計されているため、地球大気圏への再突入時にも、完全に燃え尽きず一部が地表まで到達する可能性がある。オランダ・デルフト工科大学のマルコ・ラングブルック博士は、自身のブログで「無傷で生き延びる可能性がある」としつつも、不確定要素も多く、突入時の挙動を正確に予測するのは難しいと指摘している。
NASAによると、落下の可能性がある地域は北緯52度から南緯52度の間に広がり、日本全域もこの範囲内に含まれる。より正確な再突入の時刻や位置は、今後数日の観測で分かる見通しだが、不確実性も残る。
コスモス482の総質量は1184kgで、そのうち再突入が予測されている着陸機部分の質量は約495kg。空中で分解や融解を起こさなかった場合、地表への衝突速度は秒速65〜70m(時速約240km)に達する可能性があるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
お帰りなさい、はやぶさ!
小惑星探査機「はやぶさ」が13日、7年間の旅を終え地球に帰ってきた。帰還をとらえた動画やニュース、次世代機「はやぶさ2」予算に関する記事などのまとめ。
「はやぶさ」が光輝き、散っていく NASAが空撮映像を公開
NASAが観測用航空機から撮影した「はやぶさ」大気圏再突入時の映像を公開。はやぶさが大きな光の玉となって輝き、散っていく美しい映像だ。
さらば「カッシーニ」 13年の任務終え土星に突入、消滅へ
土星探査機「カッシーニ」が、13年の役目を終えて土星大気に突入、消滅する。
「すごい流れ星が見えるかも」 400粒もの“流れ星の素”を積んだ人工衛星が近く大気圏再突入
「地球上の皆様にお願いです」──人工流れ星プロジェクトを進める宇宙スタートアップのALEは、実証衛星「ALE-1」が近く大気圏に再突入するとして広く観測を呼び掛けている。
NASAが宇宙ステーションからごみ放出→大気圏抜けて“民家に直撃”する事故発生
米NASAは、宇宙ステーションから放出した廃棄物が大気圏を抜けて民家に衝突していたと発表した。廃棄物は地上に届く前に大気圏で燃え尽きるとNASAは計算していたが、その一部が燃え尽きずに24年3月8日に米フロリダ州の民家に落ちたという。

