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今年の“着るクーラー”は、ダブルで冷えるプロ仕様 ソニー「REON POCKET PRO」先行レビュー小寺信良のIT大作戦(1/2 ページ)

「着るクーラー」こと、ソニーの「REON POCKET」に新作が登場した。今年は「PRO」である。どの辺がPROなのかというと、なんとサーモモジュール(ペルチェ素子)の枚数を2枚に増やしてきた。以前から東南アジアや中東地域ではもっと冷える製品が求められていたが、本当に作ってしまったのだ。しかも日本でも発売される。本稿では先行レビューをお届けする。

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 今年もまたこの季節がやってきた。例年5月は、「着るクーラー」ことREON POCKETの新作が出る季節である。今はヒートモードも使えるようになっているので、冷える・温めるの両方ができる。しかし空気を温めるわけではないから、冷暖両方できるが「着るエアコン」とも言えないのが難しいところである。よって歴代通り、「着るクーラー」として紹介させていただく。

 これまでREON POCKETは、初代から2、3、4、5と数字で刻んできたが、2025年の新作は「PRO」である。どの辺がPROなのかというと、なんとサーモモジュール(ペルチェ素子)の枚数を2枚に増やしてきた。

 以前から東南アジアや中東地域ではもっと冷える製品が求められており、それならペルチェを2枚にしたらいけるんじゃないかという話だけなら聞いていたが、それを本当に作ってしまったのが本作となる。中東地域だけで売るのかと思っていたら、日本でも発売される。

 まあ日本の夏も屋外ではありえないぐらい暑くなるので、これぐらいあってもいいだろう。逆に中東の富裕層は外になんか出ないという話もあるので、主戦場はガン冷えマニアが多く存在する日本になりそうだ。

 専用ネックバンド同梱のパッケージ「RNPKーP1」は、市場想定価格2万7500円。これに温度センサー「REON POCKET TAG」が同梱された「RNPKーP1T」は、2万9700円となっている。

 今回はいち早くサンプルをお送りいただいたので、テストしているところである。

構造から見るREON POCKET PROのポイント

 REON POCKET PROは、冷却に使用するサーモモジュールを2枚にしたことで、本体構造は従来シリーズから大きく変わっている。サイズとしては、横幅は抑えつつも長さ方向に延長することで、2枚分の長さを確保した。背面から見ると、冷却部が「くの字」に折れ曲がり、2枚分の面積になっていることが分かる。


REON POCKETの今年の新作、REON POCKET PRO

くの字に曲がったボディー

 ただ従来機と比較して思いのほか長くなっていないのは、ネックバンドの取り付け構造が変わったからだ。従来はREON POCKET本体に対して、受け皿にアームが生えたようなネックバンドにはめ込んで使用する方式だった。これは、背中側に本体が差し込めるポケットが付いた、シャツやウェアがあったからである。


右が従来機のREON POCKET 5

 一方今回のPROでは、アームが付いたパーツを本体上部に直接取り付ける方式となった。よって、排熱用の長いエアフローパーツを取り付けても、全長はそれほど長くはなっていない。


アームの取り付け方法が変わった

 冷却面積も違うので、PROは従来の専用アパレルが使えなくなっている。ただ現状は「REON POCKET 3」以降のネックバンドが好調で、利用者のほとんどはネックバンドを使用しているという。よって専用アパレルは在庫のみとなり、徐々に終売になるようだ。5までのユーザーでアパレルが欲しい人は、今のうちに購入しておいたほうがいいだろう。

 さて2枚となったサーモモジュールだが、これにより最大吸熱量も2倍となった。その代わり駆動時間が短くなった…わけでもなく、逆に最大駆動時間は2倍の34時間となっている(COOLレベル1)。バッテリー容量も増えているが、エアフローの要である放熱ファンを専用に開発することで、省電力化が行われている。


スペック的には「5」の2倍

 2枚のサーモモジュールは、1枚のステンレス製熱伝導性プレートの上に配置されている。下のモジュール上にファンがあるため、ヒートシンクは上のモジュール上にしかないが、このプレートによる熱伝導で2枚分のサーモモジュールの熱を1カ所で排熱している。


REON POCKET PROの内部構造

 また2枚のサーモモジュールの駆動方法にも工夫がある。従来、1カ所で肌に当てて冷却していると、いわゆる「冷却慣れ」が起こり、冷たく感じなくなるという課題があった。そこでこれまでは冷却温度をわざと揺らすことで、この慣れを解消してきたわけだ。

 一方今回は2枚あるので、この冷却温度の揺れを逆相で動作させている。簡単に言えば、交互に冷えるわけだ。装着していると、上が冷えたり下が冷えたりして、冷感を一定に保ち続けているのが分かる。

 上の方が「冷え感」は大きいので、初代からの設計は間違いなかったということだ。その一方で、「下が冷える」というのがなかなか新しい感覚だ。背中に冷水や氷が入って「チメテっ」となる感覚に似ている。それが定期的にやってくることが、全体的な冷却感の維持に貢献している。

 なおヒートモードの方では、交互に動かしても温感慣れの解消にはつながらなかったということで、2枚がシンクロして温度を揺らしているという。

 冷却面の下の方には、島になったエリアがあるが、ここには新たに皮膚温度を測定する温度センサーが設けられた。これまでは本体内部に温度センサーはあったが、どうしてもサーモモジュールの温度変化の影響を受けてしまうので、正確な温度が測れなかった。今回は温度センサーを外に出したので、より正確なセンシングが可能になっている。


温度センサーを裏面に出した

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