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今年の“着るクーラー”は、ダブルで冷えるプロ仕様 ソニー「REON POCKET PRO」先行レビュー小寺信良のIT大作戦(2/2 ページ)

「着るクーラー」こと、ソニーの「REON POCKET」に新作が登場した。今年は「PRO」である。どの辺がPROなのかというと、なんとサーモモジュール(ペルチェ素子)の枚数を2枚に増やしてきた。以前から東南アジアや中東地域ではもっと冷える製品が求められていたが、本当に作ってしまったのだ。しかも日本でも発売される。本稿では先行レビューをお届けする。

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デザイン面での新規性

 ボディー構造が全然違うことに伴い、デザインも新規になっている部分が多い。例えば本体カラーは、真っ白からホワイトグレーに変更された。従来製品はあまりにも真っ白だったため、白のワイシャツの下に潜らせると、かえって白浮きして目立つという弱点があった。これを弱める目的なのだろう。

 また従来はエアフローパーツのみホワイトグレーだったので、色がちぐはぐだった。今回は両者が同色なので、より目立たない。

 ネックバンドも、従来より太めで長く、色も暗めのグレーになった。カラーの変更に関しては、これも装着して目立たなくするための工夫である。またアーム内のフレキシブルチューブも太くなったことで、より柔らかく変形できる。欧米人の場合は、従来のネックバンドでは小さいという意見もあったそうで、より身体の大きな人にもフィットするようになっている。

 一方でアームが曲げやすくなったことで、細身の人でも隙間が空かないよう、身体に沿わせることができる。さらにアーム先端もシリコン製のサポーターが付けられており、従来ネックバンドの、先端が肌に刺さる感じがなくなった。また滑り止め効果もあるので、重さで滑って後ろ側にずれてくることも少なくなった。


大幅に改良されたネックバンド

 もう1点、今回PROと呼べる理由として、本体だけで動作モード設定が可能になった点が挙げられる。

 従来は本体にパワーボタンしかなく、細かい設定はスマホアプリでやるというスタイルだったが、屋外作業などしている人がいちいちスマホを取り出して設定変更するのは、現実的ではない。

 今回のPROでは、本体ボタンでモード変更や温度設定変更が可能になっている。左型のMODEボタンがCOOLとWARMの切り替えで、右のプラスとマイナスボタンで温度レベルが変更できる。レベル値はLEDの点滅回数で確認できる。


左側のMODEボタン

右側のアップダウンとSMARTボタン

 また温度センサーであるREON POCKET TAGを併用する「スマートモード」も、本体側で選択できる。右側の「SMART」と書いてある文字部分がボタンだ。温度センサーで測定した気温や湿度に応じて、自動でCOOLとWARMの切り替えや温度レベルを切り替えてくれる。

実際にテストしてみた

 ここ数日、実際にREON POCKET PROを装着してテストしている。24年のREON POCKET 5では、本体、ロングタイプのエアフローパーツ、ネックバンドの合計が約160gに対して、PROは同じく本体、ロングタイプのエアフローパーツ、ネックバンドの合計で約252gと、だいぶ重くなっている。

 ただ新しくなったアームの装着感が良く、かつ広くなった冷却面が肌にぴったり張り付いて重量を支えるので、重さが増えたことに関してはほとんど気にならない。

 それよりも気になったのは、厚みの増加だ。本体がくの字に曲がっていることもあり、厚みとしては2倍ぐらいになっている。これは車の運転席やヘッドレストがある椅子に座っている時に、本体が椅子の背中に当たる感じがある。

 こうしたオフィスワークよりも、おもに屋外移動や立ち作業などの利用がメインに想定されているということなのだろう。逆に厚みがあることで身体とシャツの間に隙間ができ、背中の風通しが良くなった。

 オフィスワークの際は、薄型の従来モデルの方がフィットするので、従来機との使い分けも1つのポイントになるだろう。従来機はオフィスに置きっぱなしにして、通勤・移動カバンの中にPRO、という使い分けだ。なおREON POCKET TAGは2台共通で運用できるので、すでにタグをお持ちの方は買い足す必要はない。

 本体だけで設定変更できるという設計は、思いのほか便利だった。筆者はこれまで従来機を農作業時に使用してきたが、スマホは車の中に置きっぱなしなので、設定変更のためにいちいち車に戻る必要があった。

 気温は変わらないが、作業していて身体が暑くなったという時に、本体ボタンでレベルアップできるのはうれしい。いちいち外さなくても、後ろに手を回せば手探りでボタン操作できる。またUSBコネクターがカバーされているので、汗が入り込まないか心配する必要がなくなった。


USB端子にもカバーが付けられた

 動作音も、だいぶ静かになっている。ファンがかなり下の方にあるのと、静音設計に加えて高効率なファン設計のおかげで、ファンが回っている感じはほとんどない。

 実際に使ってみて感じたのは、これまでのオフィスワーカー向け製品といった進化の流れとは別に、ハードな屋外作業など過酷な環境でも使えるように別設計・別シリーズにしたゆえに、「PRO」なのだということである。昨今はPROという言葉が製品に安易に使われるようになってしまった感があるが、REON POCKET PROはガチでPRO用だった。

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