OpenAI、Appleの元デザイン責任者アイブ氏の企業を65億ドルで買収 AIデバイス開発に本腰か
OpenAIはAppleの元デザイン責任者、ジョニー・アイブ氏が昨年立ち上げた新興企業ioを65億ドルで買収する。アイブ氏は自身の会社LoveFromに留まるものの、OpenAIの新AIデバイス開発に深く関わる。
米OpenAIは5月21日(現地時間)、米Appleの元デザイン責任者、ジョニー・アイブ氏が昨年立ち上げたデザイン企業ioのチームを「より緊密に協働するために合併する」と発表した。米The New York Timesによると、買収は全額株式交換で行われ、総額65億ドルという。
アイブ氏自身は完全にOpenAI入りするわけではなく、2019年に立ち上げたデザイン会社LoveFromに留まるが、OpenAIは「ジョニー(アイブ氏)とLoveFromは、OpenAIとio双方にまたがって、デザインおよびクリエイティブの責任を担う」としている。
OpenAIのサム・アルトマンCEOは公開されたYouTube動画(記事末に転載)で、ioとは2年前からAI関連の製品開発で協力しており、「ジョニー(アイブ氏)は最近、デバイスのプロトタイプを初めて私に持ち帰らせてくれた。私はこれを日常で試しているが、世界がこれまでに見た中で最もクールなテクノロジーだと思う」と語っている。
OpenAIのサム・アルトマンCEOがアイブ氏と生成AIと対話するための端末について話し合っているということは2023年に報じられていた。
ioの立ち上げは、OpenAIとの「2年前から始まった友情や好奇心、共通の価値観に基づく協業が、具体的なデザインへと結実した」ことによるものという。
アイブ氏はYouTube動画で、かつてAppleのWWDCの名物でパロディまで生み出した独特の語り口で「この30年間で学んだことすべてが、今の私を導いてくれたという実感が深まっている」と語っている。「サム(アルトマン氏)とOpenAI、そしてioのチームの価値観とビジョンは、私にとってかけがえのないインスピレーションだ」。
OpenAIは昨年11月には、アイブ氏のApple時代の部下で米MetaでARメガネの責任者を務めていたケイトリン・カリノフスキー氏を引き抜いている。
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