Meta、Scale AIに大型出資し、アレクサンドル・ワンCEOを引き抜き
MetaがAIスタートアップのScale AIに約143億ドルとされる大型出資を行い、同社の企業価値は290億ドル超となった。Scale AIのアレクサンドル・ワンCEOはMetaに移籍し、新設のAI部門トップに就任。独禁法訴訟を背景に、買収ではなく出資の形を取ったとみられる。
米新興AI企業のScale AIは6月12日(現地時間)、米Metaから新たな大型出資を受け、企業価値が290億ドルを超えたと発表した。また、Scale AIの共同創業者であるアレクサンドル・ワンCEO(28)がMetaに加わり、AI分野の新部門のトップに就任する。
Scale AIの暫定CEOとして、CSO(最高戦略責任者)のジェイソン・ドローシ氏がワン氏の後継となる。
発表文には出資額は明記されていないが、米The New York Timesなどによると143億ドル(約2兆466億円)という。これは、Metaの2024年の売上高の約10%に相当する。
Scale AIは2016年創業のサンフランシスコに拠点を置く非公開企業。MetaやOpenAI、Anthropicなどと提携し、生成AI関連ツールを提供している。
ワン氏は発表文で「Metaによる投資は、Scaleのこれまでの実績を称えるものであり、AIと同様に、私たちの未来への道も無限であることを改めて示すものだ」と語った。また、Xなどで公開した従業員宛公開書簡で「当社は1500人以上の従業員を抱えるまでに成長し、最も高度なAIツールとアプリケーションを構築、展開するモデルビルダー、企業、政府にとって信頼できるパートナーとなっている」と語った。
MetaがScale AIを買収するのではなく、CEOを引き抜いて出資する道を選んだ背景には、係争中のInstagramとWhatsAppの買収を巡る独禁法訴訟があるとみられる。
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