公取委が「フリーランス新法」で初の勧告、小学館と光文社に 報酬の支払い遅れなど指摘
公正取引委員会は6月17日、小学館と光文社に対し、フリーランスとの取引で報酬の未払いなどがあったとして「フリーランス新法」に基づく勧告を行った。2024年11月の施行後、初の適用となる。
公正取引委員会は6月17日、小学館(東京都千代田区)と光文社(東京都文京区)に対し、「フリーランス新法」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)に基づく勧告を行った。いずれも、フリーランス(特定受託事業者)への業務委託に当たり、取引条件を直ちに明示しなかった他、報酬の支払期日を明示していなかったことなどが法令違反に当たると判断した。
小学館は2024年12月の1カ月間に191人、光文社は23年11月から25年2月にかけて31人のフリーランスに仕事を委託。いずれも月刊誌・週刊誌などに関する原稿や写真データ、イラストの作成、ヘアメークといった業務を委託していた。
公取委によると、両社は委託後、報酬額や支払期日といった取引条件を、書面や電磁的方法で直ちに明示していなかった。さらに、支払期日を定めていなかった場合に、同法が「みなし期日」とする成果物の受領日までに報酬を支払っておらず、この点も違反に当たるとされた。
このため公取委は、両社に対し違反事実を取締役会で確認し、再発防止策を決議するよう求めた。あわせて、同法施行以後の取引の再調査や従業員への研修、契約を結んだフリーランスへの通知、公取委への報告なども指示した。
フリーランス新法は、労働基準法や下請法の適用外とされてきたフリーランスの権利を守ることを目的に、24年11月に施行された。発注元の事業者に対して、業務委託契約の際に取引条件を書面または電磁的方法で直ちに明示すること、報酬支払期日を定めた上で、期日内に支払うことなどを求めている。公取委が同法に基づいて勧告を出すのは、今回が初めて。
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