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LINEヤフーはなぜ“Switch 2転売禁止”を決めたのか? 担当者に聞いた メルカリ・ラクマと対応が分かれたワケ(1/2 ページ)

任天堂の新型ゲーム機「Nintendo Switch 2」の転売を巡り、各プラットフォームによる対応の違いが話題になった。唯一“Switch 2出品禁止”の措置を取ったLINEヤフーの担当者に、そのワケを聞いた。

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 転売ヤーはいなくなれ──任天堂の新型ゲーム機「Nintendo Switch 2」を巡って、そんな恨み節がネット上に響いている。現在、抽選販売のみでSwitch 2を売る店舗が多く、需要の高い状況が続いている。そんな中、メルカリや楽天ラクマでは発売日から転売が相次ぎ、批判の声も上がった一方、LINEヤフーのみが“Switch 2出品禁止”の措置を取った。


LINEヤフーはなぜ“Switch 2転売禁止”を決めたのか?

 任天堂は5月、フリーマーケットサービスを運営するメルカリ、LINEヤフー、楽天グループと協力し、Switch 2関連商品の不正出品を防止する取り組みを行うと発表。中でもLINEヤフーは当面の間、Yahoo!オークションとYahoo!フリマでの本体の出品を禁止にした。結果、Switch 2発売日には、メルカリとラクマではSwitch 2の転売を行うユーザーが多く現れた。

 任天堂と不正出品防止に関する取り組みを発表したプラットフォーマー3社で、なぜ対応が分かれたのか。Switch 2出品禁止を決めたLINEヤフーに話を聞いた。話し手は同社執行役員でコマースカンパニーリユース統括本部長を務める林啓太さんだ。

LINEヤフーが“Switch 2出品禁止”を決めたワケ

 ある商材を一時的に買い占めることで、市場の供給量がコントロールされ、価格が高騰し、出品者が利益を得る。このような状況に対して、何らかの対策を講じるべく、LINEヤフーでは以前から社内で議論をしていた。その具体策として、出品禁止措置を取ったのが今回のSwitch 2だ。

 出品禁止を決めた理由について、林さんは「買い占め行為などでより供給不足が進み、市場が混乱するリスクを回避するため」と説明。「任天堂も、多くの人に商品が行き渡るように抽選販売を決め、本当に欲しい人に行き渡るような仕組みを取っていた。発売日には、供給よりも需要が勝り、欲しくても手に入らない状況になるとも見据えていた」(同)として、任天堂の姿勢に沿った形だ。


Yahoo!オークションに掲載したSwitch 2出品禁止の告知文

 LINEヤフーではこれまでも、いくつか商材の出品を禁止にしていた。コロナ禍ではマスクが供給不足になると判断して出品を禁止した他、直近では政府備蓄米も法改正に伴って対応を取った。しかし、災害時でもなければ、法改正も伴わない状況で、ゲーム機を対象に一時的な供給不足への対応を取ったのは、Switch 2が初めてという。

「本来のリユースサービスから逸脱した売買であると判断」

 「モノの価値は需要と供給で決まると思っている。だからこそ、希少性を鑑みて二次流通で高値が付く商材もあれば、目減りして安く買える商材もある。そのバランスの中でこそ、リユースサービスは成立する。基本はプラットフォーム上で自由な売買はあるべき姿だと思っているが、今回のような需要が供給を大きく上回る商材は、通常の売買をすごく混乱させるし、本来のリユースサービスから逸脱した売買であると判断した」

 また、林さんは「転売で高値で買わなくてはならず、本当に欲しい人のもとへ届かない状況に乗じて、『空箱だけを売る』など不正出品誘発する可能性もある」と取引の安全面にも言及。「それらの行為は取引の安心安全度を下げるし、もっというとリユースサービスに対する信頼も損なう。個人間取引ということもあり、一時流通とは安全度が異なるため、取引の安全基準を保つためにも不安要素は減らしたい」との考えもあったと明かした。

そもそも任天堂からの要請は「転売禁止」ではなかったの?

 Switch 2の転売が話題になった理由の一つには、任天堂が事前に発表したプレスリリースの影響もあると思われる。もともとプレスリリースでは、不正出品対策で3社と連携をとったと説明していた。ここでいう不正出品とは、悪質な詐欺行為や手元にない商品の出品などの行為を指しており、Switch 2の転売行為を禁止すると明示していたわけではなかった。

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