クリエイティブ・コモンズ、AIの健全な発展目指し「CC Signals」提案
クリエイティブ・コモンズが、AI学習におけるコンテンツ利用の意思表示フレームワーク「CC Signals」を発表。クリエイターが利用を制限するのではなく、「クレジット表記」や「寄付」などの見返りを表明できる仕組み。健全なAIエコシステムの発展を目指す。
著作物の流通を促進する非営利団体Creative Commons(クリエイティブ・コモンズ)は6月25日、AI時代のための新プロジェクト「CC Signals」の立ち上げを発表した。コンテンツ管理者が自分の作品をAIのトレーニングでどのように利用してほしいかの「preferences」(特定の選択肢を他の選択肢よりも好む傾向、選好)を表明するためのフレームワークだ。
クリエイティブ・コモンズは、AIがこれまでにない規模で急速に発展する中、コンテンツ作成者や管理者たちの関与なしに、コンテンツが公開された際の「合理的な期待」を超えてAIのトレーニングなどのために利用されてきたと見ている。機械によるWebコンテンツの利用自体は新しいことではないが、今日のAIはWebのあり方を変え、脅かすアルゴリズムを供給していると説明する。
かといって、コンテンツ管理者がアクセスをブロックするようになれば、知識へのアクセスが阻害され、コモンズの未来は脅かされる。また、現在の著作権法はAIトレーニングの管理を意図してはおらず、イノベーションと知識へのアクセスを阻害する可能性がある。
CC Signalsは、コンテンツのAIによる再利用には正当な目的があり、それを保護する必要があるという信念に基づくという。AIトレーニングやデータマイニングといった機械的利用の種類を制限するのではなく、「見返りとなる行動を奨励する」ことを目的としている。
初期提案では、以下の4つの「signal elements」を起草した。
- Credit
- Credit+直接寄付
- Credit+エコシステムへの貢献
- Credit+オープン
CC Signalsは、コンテンツ管理者がAIのトレーニングなどに使われる可能性のあるコンテンツに適用する。「CCライセンス」と同様に、機械と人間の両方で可読になるよう設計する。
現在、パートナーやコミュニティと協力して開発を進めており、一般からのフィードバックを求めている。フィードバックは、CC SignalsのGitHubリポジトリで提供できる。
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