“着るペルチェ水冷”の実力は? 「ChillerX」を着て畑仕事をしたら、秋を感じた:小寺信良のIT大作戦(2/3 ページ)
7月に入り、メッセージには熱中症警戒アラートがバンバン飛び込んでくる。今年も本格的に暑さ対策が必要な季節がやってきた。その中で、シフトールから発表された「ChillerX」は、夏場の屋外作業やアウトドア活動を視野に入れたガン冷えガジェットである。どれほど冷えるのか、新たな方式「ペルチェチラー」の実力を試してみた。
ChillerXの実際
ChillerXの構造は、ペルチェによる冷却システムと水を送り出すポンプが一体となった背面ユニット、そこにパイプでつながった冷却パッドが基幹部品だ。そしてそれらを固定するためにベスト部があるという形になっている。
装着はリュックみたいに背面に背負って、ベルトを前に回して固定するというスタイルである。展開すると十字のシンプルな構造だが、これはユーザーが上記の基幹部品一式を外してベスト部だけ洗えるよう、あえて複雑な立体構造にしなかったものと考えられる。
冷却ユニットが触れる部分は、背面は肩から背骨の両側を通り、そこから脇下を前に回り込んで胸部までとなっている。だいたい肋骨があるあたりをカバーするような配置だ。
背面ユニットにつながったパイプは、外側が送り出し、内側が取り込みとなっている。送り出された冷却水は、いったん一番上まで上って肩の部分を巡回し、そこから下に降りてL字に曲がり、胸部を通ってユニットに戻ってくる。
中を巡回するのは普通の水で、ユニット部の根元のジョイント部を外して入れ替えることができる。ただし水を入れ替える場合は、中に気泡が入るとそこで詰まったりするので、満遍なく充填する必要がある。
またユニットからはコントローラーが伸びており、その先にUSB-C端子がある。市販のモバイルバッテリーをここに接続して使用する。バッテリーを収納するポーチも付属しており、腰からぶら下げられるようになっている。
実際に装着してみた。ベストを装着してバッテリーをつなぐと、いきなり動き出す。コントローラーを長押しすればOFFにできるが、基本的にはバッテリーをつなげばすぐ動くという設計になっている。
装着して1分ぐらいで、循環水が冷えてきたのが分かる。最初は当然、室温程度に暖まっているわけだ。着ている衣類の厚みにもよるだろうが、基本的にはTシャツ程度の上に装着することになるだろう。
筆者は近隣に畑を借りており、毎日水やりや雑草取りなどの農作業をしている。炎天下を避けて夕方に作業することにしているが、それでも日中に土に蓄えられた熱の放射もあり、かなりの暑さである。
だがChillerXを装着しての作業は、「秋なのかな?」と思えるほどの涼しさが感じられた。冷却面積が広く、特に脇の下から胸部にかけての冷却が、体温を下げるのに有効のようだ。発熱したときに脇の下を冷やすと熱が下がるという、ああいう理屈であろう。
装着はベルト固定式で、きつくも緩くも調整できる。ベルトには伸縮性がなく、あまりキツキツにすると動きづらいので、多少緩めのほうが作業はしやすい。
腰のユニット部からは、「バー……」というポンプ音がずっと鳴っている。静かな場所では使えないだろうが、屋外作業ならこれぐらいの音は問題ないだろう。
ユニットは上面吸気、背面および下部から排気される。特に下向きの排気はかなり暖かい空気が出ている。腰のあたりがほんのり暖かいのは、筆者のような腰痛持ちにはかえってありがたい。
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