新しい老眼鏡で視界がシャープになった話 AIで“瞳孔の変化”をレンズ設計に取り入れるアプローチとは?:分かりにくいけれど面白いモノたち(5/5 ページ)
「バリラックス・フィジオ・エクステンシー」は、瞳孔の動的データとAIに基づき設計された新しい累進度数レンズだ。明るさによって瞳孔の大きさが変化することと、メガネの見え方にどういう関係があるのか? 実際に使って確かめた。
フィジオ・エクステンシーのデメリット
確かに、シャープに見えるのはフィジオ・エクステンシーの方なのだが、バリラックスXRの方が圧倒的に目が疲れない。また、フィジオ・エクステンシーだと、メガネを掛けているからクッキリ見えているという感じなのだが、バリラックスXRはうっかりするとメガネを掛けていることを忘れてしまうほどだったりする。
「だから、『フィジオ』のデメリットとしては、ある一定のところに収差がたくさん溜まっちゃうので、そこが違和感につながりやすいんですよね。簡単に言うと、物が歪んで見えたりとか距離感がつかみづらくなったりだとか、物が浮いたような感じがするといった場所が出来やすいんです。そこを振り切って設計しているから、シャープさとハイコントラストを両立できたりもするわけです」と井上さん。
その意味で、フィジオ・エクステンシーは合わない人にはとても合わないという。また、頭を激しく動かすような状況には弱いのだそうだ。
一方で、バリラックスXRは、合わないという人がほとんどいないというお話だった。確かに、シャープさ、文字の読みやすさ、遠くの見やすさなどでは、フィジオ・エクステンシーが上なので、私は今、完全にフィジオ・エクステンシーを常用している。
ただ、多少シャープさには欠けるものの、掛けていて楽なのはバリラックスXRだ。よく、メガネは度をキッチリ合わせると疲れやすいから、少し緩く作る方が良いと言うが、バリラックスXRならキッチリ合わせても楽に生活できる。
レンズのグレードではなく、性質の違いでシリーズを作るバリラックス
バリラックスの製品ラインアップが面白いのは、レンズのグレードではなく、性質の違いでシリーズが作られ、そのシリーズの中に、どれくらいパーソナライズのデータを反映させるか、コーティングをどうするかといったところでグレードを付けているところだろう。
私の妻にバリラックスXRとフィジオ・エクステンシーのテストレンズを試してもらったところ、どちらも見え方に優劣はないが、若干バリラックスXRの方が楽に見える感じがすると言っていた。そんな風に、「見える」の先の「見え方」でレンズを選べるから、個々人の生活パターンや仕事などによって、自分の視界をカスタマイズできる。しかも、今ではフィジオ・エクステンシーもバリラックスXRも調光レンズにすることが可能だ。
そんなフィジオ・エクステンシーの価格は、2枚1組で7万7000円から。オプション全部乗せで12万6500円。フラッグシップのバリラックスXRが9万9000〜28万6000円なので、レンズの特性が合うなら、フィジオはかなりお得感がある。
フィジオの中での価格差は、レンズの圧縮率と、パーソナライズしたデータの反映具合。つまり、より薄く、自分の目の動きなどに合わせたものだと高くなるという価格設定だ。
上記のiPadを使った検査などを反映すると高くなるのだけど、テストレンズの段階で十分良いと感じられたら、単にレンズを薄くするだけの9万9000円という選択肢もあるし、度がそれほど強くないなら、レンズは薄くせず、パーソナライズだけを乗せる9万3500円を選ぶ手もある。国産の片面非球面累進レンズでも、大体5〜6万円程度はするわけで、価格的にも、テストレンズを試す価値はあるレンズだと思う。
【訂正:2025年8月1日11時01分更新 ※記述の誤りを修正しました。瞳孔は明るいところでは閉じ、暗いところでは開くが正しいです】
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