プロの映像屋でも必須ツールの「Photoshop」 β版にやってきた、3つの最新AI機能をチェックする:小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(3/3 ページ)
映像のプロにとって、Photoshopは必須のツールである。動画コンテンツ制作において静止画素材を使わないということはほぼなく、写真や図解、ロゴなどを扱う場合は、ほぼPhotoshopで処理を行うことになる。そんな定番のPhotoshopが、7月末公開のβ版でかなりの新機能が追加された。今回はそれらを実際に使ってみて、静止画処理の今と、動画処理の未来について考える。
合成素材を1つにまとめられる「プロジェクト」
動画編集ツールでは、プロジェクト単位でコンテンツを管理している。動画や音声、静止画などの素材と、バージョン違いの編集結果などを1つのプロジェクト内に集めて、全体をセーブ・ロード、あるいは共有するという考え方だ。
Photoshopにもこのような「プロジェクト」の考え方が導入される。画面上部にあるホームアイコンをクリックしてホームへ行くと、「プロジェクト」という項目が増えている。ここで「プロジェクトを作成」をクリックすると、プロジェクト名を決定したのち、共有相手を設定できる。メールアドレスを入力すると、相手にメールで共有情報が送信される。
共有された相手は、メールで届いた共有リンクをクリックすると、ブラウザ上で共有ファイルを見ることができる。
プロジェクトには、PSDファイルのほか、「Illustrator」ファイルが追加できる。基本的にはPhotoshopで開けるファイルということになるが、それ以外のファイルも追加できる。例えばサンプルで追加しているのは、「Adobe Express」で生成した画像だ。ただこれをクリックしてもファイルが開けるわけでもなく、今のところ追加できるだけで行き止まりになっている。ベータ版なので、まだこの先の連携ができていないということかもしれない。
加えて追加できるファイルは、Adobeのクラウド上にアップロードされているものに限られる。「追加」というよりは、「移動」である。ローカルにあるファイルは、今のところ追加できないようだ。
ワークフローという点では、素材や作業中のファイルを最初からクラウドに置いておくというのは、静止画作業をやる人に限られる。動画クリエイターは扱うファイルが大きいので、作業中のファイルはローカルに持つことが多い。むしろプロジェクトに素材を追加すると、共有のためにクラウドに上がるというフローの方が自然である。
しかし、ファイル単位でしか扱えなかったPhotoshopにプロジェクトという概念が取り込まれたのは興味深い。将来的にはプロジェクトというフォーマットが、Adobeのアプリ内で共通化されていく可能性もある。動画、静止画、音声、PDFなど、Adobe製品で扱えるファイルを1つのプロジェクトにまとめて管理・共有を行っていくという、大きな流れの中にあるのかもしれない。
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