「ミサイル対処用レーザー」研究へ10億円、ドローン対策で 防衛省、令和8年度概算要求
防衛省が2026年(令和8年)度予算の概算要求を公開した。概算要求額は8兆8454億円(前年比4.4%増)。うち約2468億円をサイバー領域の強化に計上し、情報システムの防護などに充てるという。他にも小型無人機(ドローン)への対処を強化するため、ミサイル対処用レーザーの研究に10億円を充てるとした。
防衛省は8月29日、2026年(令和8年)度予算の概算要求を公開した。概算要求額は8兆8454億円(前年比4.4%増)。うち約2493億円をサイバー領域の強化に計上し、情報システムの防護などに充てるという。他にも小型無人機(ドローン)への対処を強化するため、ミサイル対処用レーザーの研究に10億円を充てるとした。
サイバー領域の強化に向けては、防衛省のクラウド基盤整備(718億円)や同省のセキュリティ整備(232億円)、陸上自衛隊が運用するシステム・ネットワークを一元管理する情報システムの移行(216億円)を盛り込んだ。サイバー攻撃の状況把握・対処をAIで支援するシステムの整備(39億円)にも取り組むという。
さらに電磁波領域を強化する一環として、小型無人機への対処能力向上を目指し「高効率なビーム集光技術や高度なターゲット追尾技術を備え、ドローン等対処用レーザーシステムの10倍以上の出力を可能とするメガワット級レーザーシステムを実現するために必要な技術の研究」(原文ママ)に10億円を充てるとした。
AIの活用も加速。指揮統制や情報機能を強化する一環として、陸上自衛隊のクラウド環境でAIを活用するための基盤整備(25億円)に取り組むという。情報戦への対応を目的に、AIを活用したSNS情報の収集・分析ツールの整備(45億円)も進めるとした。
防衛省はその他、宇宙領域における能力強化(1768億円)に加え、持続性の強化に向け防衛施設へのドローン対処機材の導入(102億円)、装備品の可動数向上や安定的・計画的な取得に向けた3Dプリンタ技術の調査(3億円)などを概算要求に盛り込んだ。
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