恐るべき新製品ラッシュ ニコンにキヤノンにAppleまで? 「シネマカメラ」に熱視線のワケ:小寺信良のIT大作戦(2/3 ページ)
例年秋は新製品ラッシュの時期で、主に新製品レビューを生業とする者にとってはもう9月・10月のスケジュールが入りきれないぐらいの状態になっている。特に今年は映像関係での新製品が多く、何故か今年は各メーカーから集中して発売が予定されている。ここではなぜ今シネマカメラがこんなに注目されるのか、そして今後何が起こるのかという点について考察してみたい。
見逃せないApple、Blackmagicの動き
9月10日未明、米Appleは新「iPhone 17」シリーズを発表した。薄型の「iPhone 17 Air」に注目が集まるところだが、一般メディアではあまり報じられなかった重要な発表があった。それは、17 Proシリーズでプロ向け動画撮影機能が強化されたことである。
17 ProおよびPro Maxでは、録画フォーマットとして「Apple ProRes RAW」に対応した。これまでProRes RAWは、DJIのRonin 4D、ニコンの一部のZシリーズ、パナソニック Lumixのハイエンドモデルに搭載され、またAtomosのフィールドレコーダーでも採用されてきたが(Apple ProRes RAW対応機器一覧)、本家Apple製品では初めて、このフォーマットに対応した。
ProRes RAWが必要とされる現場は、映画制作に近いハイエンドなフィールドであり、間違ってもテレビ番組制作で使用されるものではない。iPhone 17 Proシリーズでこれに対応したということは、これがシネマフィールドで使えるようになった、ということである。
ProRes RAWで撮影できるカメラアプリは、製品発売と同時にリリースされる見込みの、「Final Cut Camera2.0」となっている。またこのアプリは、新しいLogフォーマット「Apple Log 2」にも対応し、ゲンロックとタイムコードもサポートする。
豪Blackmagic Designでは、iPhone 17 Proシリーズがターゲットと思われるドックアダプター、「Blackmagic Camera ProDock」を発表した。iPhoneとUSB-Cで接続することで、3系統のUSB-C端子、HDMI出力、ゲンロック、タイムコード入力、外部音声入出力を拡張する。
Blackmagic Camera ProDockで使用するカメラアプリは、当然「BlackMagic Camera」アプリが推奨されるだろう。iPhone 17 ProシリーズでBlackMagic Cameraアプリを使えば、こちらでもProRes RAWで撮影できる。
ProDockでUSB-Cポートが拡張されているのは、iPhone内部記録だけでなく、SSDなどの外部ストレージに直接収録するということだろう。iPhone内部ストレージ残量に頼らず、長時間収録に対応するという意図がありそうだ。
ゲンロックとタイムコードのサポートは、Final Cut Camera2.0でもサポートされたが、BlackMagic Cameraアプリでもサポートされる。なおタイムコードに関しては、すでに初期のバージョンから対応していた。
これまでタイムコードの入力は、iPhoneに入力端子がないために、Bluetooth対応のタイムコードジェネレータを用意する必要があった。だがProDockではBNCの入力端子があるため、一般的なタイムコードジェネレータや、別カメラからのスレーブで対応できるだろう。
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