権利者「そもそも許可していません」 2つ存在したSwitch版「ブライ上巻」の一方が販売終了に
アルティは15日、Nintendo Switch版「BURAI(ブライ)上巻」で原版の異なる2作が販売されていたことで混乱を招いたとして、ユーザーと権利者である飯島多紀哉さんに謝罪した。しかし飯島さんによると、一方はそもそも販売を許可していないという。
ゲーム開発や運営を手掛けるアルティ(福岡市)は10月15日、Nintendo Switch版「BURAI(ブライ)上巻」で原版の異なる2作が販売されていたことで混乱を招いたとして、ユーザーと権利者である飯島多紀哉さんに謝罪した。併せて「EGGコンソール ブライ上巻 PC-8801mkIISR」は販売終了となった。
Switch向けのブライ上巻には、飯島さんが監修した「BURAI上巻 MSX2版」の他に、EGGコンソール版の2つが流通していた。しかし飯島さんのポストによると、EGGコンソール版はそもそも著作権者である飯島さんが許可していないという。
EGGコンソール版を販売しているのは、レトロゲームの復刻・配信ビジネスを手掛けるD4エンタープライズ(東京都中央区)。1980年代のPCゲームを復活させる「プロジェクトEGG」の一環として、今年2月20日にブライ上巻の配信を始めた。
対してMSX2版は6月19日発売。価格は1980円とEGGコンソール版の880円より高かったため、飯島さんのもとにもユーザーから「なぜ高いのか」と問い合わせがあったという。
飯島さんは昨年度からEGGコンソール版の発売中止を求めていたが、MSX2版を販売するメビウス(三鷹市)から「間に自分が入るからもう少し待ってほしい」と言われ、待っていた。しかし何も起きないまま、1年近くが経過。しびれを切らした飯島さんがアルティに直接連絡したことで、今回の発表に至った。
その間、D4エンタープライズから飯島さんへの接触はなかったという。「未だに一切の謝罪も連絡もありません。本来、発売前に報告があるべきです。著作権者を蔑ろにする、これがゲーム業界の現状です」(飯島さんのポストより)。
ブライは、1989年にリバーヒルソフトがNECの「PC-8801mkIISR」以降向けに発売したロールプレイングゲーム。海賊、占い師、竜の一族の頭領など8人の勇士が、復活した闇の神帝ダールに立ち向かう。ドラマチックなストーリーなどで人気となり、その後「PC-9801」シリーズやMSX2、「FM TOWNS」にも移植された。
飯島さんはアドベンチャーゲーム「アパシー」シリーズなどで知られるゲームクリエイター。ブライの開発時は、飯島健男名義でシナリオとゲームデザインを担当していた。
10月17日追記
D4エンタープライズは、XのEGGプロジェクト公式アカウントで声明を発表。「アルティ社から許諾を受け」配信を行っていたが、同社から配信停止の依頼を受けて停止したと明らかにした。
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