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「現金なし」万博、来場者の満足度は? 公式が調査 一方、店舗には課題も

“全面キャッシュレス”で開催した大阪・関西万博。決済利用者の満足度は9割を超え、店舗での決済関連作業に要する時間は約10分の1に削減された――万博協会は11月17日、キャッシュレス決済導入の効果を検証した報告書を公表した。

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 “全面キャッシュレス”で開催した大阪・関西万博。決済利用者の満足度は9割を超え、店舗での決済関連作業に要する時間は約10分の1に削減された――2025年日本国際博覧会協会は11月17日、キャッシュレス決済導入の効果を検証した報告書を公表した。

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キャッシュレス決済の周知ポスター

 同万博では、会場内235店舗で73種類の決済ブランドを利用可能とし、184日間にわたり累計約2900万人の来場者を迎えた。使われた決済手段は、「クレジットカード」が47.1%と最多で、「コード決済」(36.0%)、「電子マネー」(16.9%)と続いた。なお、全国の決済比率をみると、現金が57.2%と過半を占めている。

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使われた決済手段の内訳(報告書より引用、以下同)

 キャッシュレス決済に対する来場者の評価は、現金よりも「効率的・便利だった」(「まあ」を含む)とした人が約94%に上り、「使いやすい」とした人も約86%に達した。今後の日常生活でも「キャッシュレスを使いたい」と答えた人は約91%にのぼり、協会は「利便性が高ければ、高齢者を含む消費者にも受け入れられる素地がある」と評価している。

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現金と比べて効率的・便利だったか

 三井住友カードの決済データに基づく分析によれば、大阪府在住者のキャッシュレス決済回数(1人あたり月平均)は2月以降、全国や東京都を上回る水準で推移。3月には全国平均を5.0ポイント、東京都を4.2ポイント上回り、8月時点でも全国比で2.9ポイント、東京都比で2.3ポイント上回った。協会は、Visaのタッチ決済キャンペーンや私鉄各社のクレジットカード乗車対応などとあわせて、「万博という一大イベントが、大阪エリアの人々の行動に影響を与えた可能性がある」と分析している。

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大阪府在住者のキャッシュレス決済回数の推移と全国比・東京比

 店舗側への調査では、キャッシュレス運用を「非常に良かった」「良かった」と評価した店舗は約74%に。得られた効果として最も多く挙がったのは「業務効率の向上」(約93%)、次いで「セキュリティの向上」(約90%)だった。協会によれば、現金を扱わないことで釣り銭対応やレジ締め、売上金の回収・報告といった作業が削減され、「決済関連作業の時間は約10分の1に削減された」という。

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店舗からのキャッシュレス運用への評価。「非常に良かった」(「5」)と「良かった」(「4」)の合計は約74%だった
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得られた効果

 一方で、店舗からは課題点も指摘されたという。最も多かったのは「手数料などの運営コストの増加」が約54%と最多に。「一部顧客がキャッシュレス決済を利用できなかったこと」(約46%)、「キャッシュレス以外の選択肢がないことへの顧客苦情」(同)が続いた。

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店舗から挙がった課題

 「決済ができなくなるトラブルを経験した」とした店舗も約43%あった。いずれも通信障害や端末のフリーズによるもので、再起動対応などが必要だったという。ただし協会では、無償での端末貸与や、現金チャージ機65台の設置、不慣れな来場者向けの案内窓口やプリペイドカードの販売などを実施しており、会期中にシステム障害による決済停止は一度も発生しなかった。

 協会は一連の課題への対応が「キャッシュレス決済比率を上げていく上で鍵になる」としている。

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