トランプ政権、AIと連邦データを統合活用する「Genesis Mission」始動
トランプ米大統領は、AIを活用した科学研究推進のための新たな取り組み「Genesis Mission」創設の大統領令に署名した。米エネルギー省を実行主体とし、AIで連邦政府の科学データを横断活用し、国家安全保障や産業競争力の強化を目指す。
米連邦政府は11月24日(現地時間)、ドナルド・トランプ大統領がAIを活用した科学研究を国家規模で推進する新たな取り組み「Genesis Mission」を創設する大統領令に署名したと発表した。AIを使って連邦政府が保有する科学データを横断的に活用し、国家的な科学技術課題の解決や国家安全保障、エネルギー、産業競争力の強化などを図るとしている。
大統領令は、Genesis MissionをAIによる科学発見を加速するための国家的な取り組みと位置づけ、米エネルギー省(DOE)を実行主体に指定した。DOEのクリス・ライト長官が、同省の全リソースを統合するかたちで、ミッションの中核となる統合AI基盤「American Science and Security Platform」を構築・運用する責任を負う。
プラットフォームには、DOEのスーパーコンピュータやクラウドを含む高性能計算資源、大規模モデルの学習・推論に対応したAI計算環境、分野別のファウンデーションモデル、実験・製造の自動化ツールなどを備え、連邦政府が蓄積してきた各種科学データセットへの安全なアクセスを一体的に提供する構想だ。
DOEは60日以内に、先端製造、バイオテクノロジー、重要資源、核分裂・核融合エネルギー、量子情報科学、半導体・マイクロエレクトロニクスなどを含む少なくとも20件の「国家的に重要な科学技術課題」をリストアップし、科学技術担当大統領補佐官マイケル・クラツィオス氏のレビューを経て、ミッションが優先して取り組む課題群を確定する。
大統領令には、AIを活用した科学研究に従事するフェローシップやインターンシップ、見習い制度を設け、DOEの国立研究所などでプラットフォームにアクセスしながら人材育成を図る計画も盛り込まれている。
この大統領令は、既存の法令で与えられた各省庁の権限を損なうものではなく、予算の範囲内で実施されること、また、この命令自体はいかなる法的権利や救済手段も新たに創設するものではないとしている。
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