BYDだけじゃない、日本メーカーもEV続々――ジャパンモビリティショーで見た、攻めたクルマたち:走るガジェット「Tesla」に乗ってます(3/3 ページ)
10月末に開催された「Japan Mobility Show 2025」。筆者が会場を訪れて感じたのは、前回2023年と比べて国産メーカーのEVへの本気度が格段に上がっていることだ。中国BYDの軽EV市場参入、スバルの本格派ステーションワゴンEV、シャープの攻めたコンセプトカーまで、印象に残ったクルマを写真とともに紹介する。
屋根にソーラーパネルを広げて太陽光で年間3000km
日産のソーラーパネル付きの軽自動車もユニークな存在でした。自宅の駐車場などに駐めている間、ルーフのソーラーパネルが前方にせり出してきて太陽光で蓄電してくれます。説明担当者によると、神奈川県の気象データや日照時間換算で年間3000kmを走行できる分の電力量を賄うことを目指しているそうです。
家人が買い物に使っている三菱アイは、年間2500km程度しか走りません。このクルマであれば電力会社からの電気で充電をすることなく、エネルギーコストゼロ円での運用が可能になります。
ただ、説明担当者によると、価格をどこまで抑えることができるかが大きな課題だそうです。逆に、「いくらなら買いますか?」と尋ねられました。一応、オプションを付けた一般的なガソリンの軽自動車と同程度である250万円と答えておきましたが、果たして実現可能なのでしょうか。注視しておきたいクルマです。
目の付け所がシャープだね
最後に家電製品でおなじみのシャープのユニークなコンセプトEVをご紹介します。「LDK+」と名付けられたこのクルマは、「停まっている時間」を活用する、家の一部としてのクルマをテーマにしています。まさに、自宅のLDKの延長線上に位置するクルマというわけです。
最後部にスクリーンが張られており、座席横のボックス内に設置されたプロジェクターから映像を映す仕組みです。キワモノ的な印象を持つ人もいるでしょうが、EV(特にTesla)のユーザーであれば、このコンセプトに理解を示す人も多いのではないでしょうか。
EVであるからこそ、停まっている間もエアコンの利いた快適な空間で、映像を楽しむことができますし、リモートワークのスペースとしても最適です。例えば、LDK+でStarlinkを積んで山に行き、大自然の中でリモートワークをするなんてどうでしょうか? 新しい体験をもたらしてくれそうです。
ちなみに、この試作車にはイマーシブオーディオは非搭載でした。説明員によると、「コストアップになるので音響をどこまで充実させるか判断が難しい」とのことです。
そして、シャープと言えば、独自の空気浄化技術「プラズマクラスター」が有名です。プロジェクターのボックスには、しっかりと空気清浄機も設置されており、そのあたりは目の付け所がシャープでした。
Japan Mobility Show 2025では、上記の他にもたくさんの興味深いクルマや技術が展示されています。筆者は、時間的な制約もあり、プレスデーの初日しか見て回ることができませんでしたが、クルマ好きであれば2度、3度と訪れてじっくりと見学する価値のあるイベントだと感じました。
著者プロフィール
山崎潤一郎
音楽制作業の傍らライターとしても活動。クラシックジャンルを中心に、多数のアルバム制作に携わる。Pure Sound Dogレコード主宰。ライターとしては、講談社、KADOKAWA、ソフトバンククリエイティブなどから多数の著書を上梓している。また、鍵盤楽器アプリ「Super Manetron」「Pocket Organ C3B3」「Alina String Ensemble」などの開発者。音楽趣味はプログレ。Twitter ID: @yamasakiTesla
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