Google、AI検索時代におけるWebパブリッシャーとの共存策を強化
Googleは、AI検索時代におけるパブリッシャーの懸念に対応するため複数の施策を発表した。購読済みメディアの記事リンクを検索結果で目立たせる新表示を導入するほか、「AIモード」ではインラインリンクの数を増やし、説明文を添える。また、The Guardian、The Washington Postなどを含むニュースパブリッシャーと新たな商業的AIパイロットプログラムを試験的に実施している。
米Googleは12月10日(現地時間)、AI検索の普及によって高まるWebサイトやニュースパブリッシャーの懸念に対応するため、情報源をより明確に示し、パブリッシャーとの商業的関係を強化する複数の施策を発表した。新機能の導入と提携の拡大により、AI主導の体験とWebエコシステムの共存を図る狙いだ。
まず、ユーザーが既に購読しているニュース媒体の記事を発見しやすくするため、サブスク済みメディアのリンクを検索結果で目立たせる新しい表示方式を導入する。対象メディアのリンクは専用カルーセルにまとめて提示され、信頼できる情報源にアクセスしやすくなる構造とした。この機能はGeminiアプリから先行展開し、順次「AIによる概要」や「AIモード」にも広げる。
AIモード自体の改善も進めている。回答文に含まれるインラインリンクの数を増やし、クリック先の意義を説明する短文を添えるようにする。ユーザーがどのリンクを参照すべきか判断しやすくするためとしている。
さらに、実験中の「Web Guide」機能については、表示対象となる検索クエリの範囲を拡大し、動作速度も2倍に向上させた。
パブリッシャーとの商業的提携も強化する。Googleは、拡張表示権やAPI提供など、パブリッシャー側が自らのコンテンツをGoogle製品に届けるための手段に対して対価を支払う施策を継続しており、これまでに50カ国以上の3000以上の媒体と契約を結んだと説明する。さらに、Der Spiegel、The Guardian、The Washington Postなどと新たなAIパイロットを開始し、Google News上でAIによる記事概要を表示する実験を進めている。音声ブリーフィングのテストも含まれ、すべてに明確な帰属表示と記事へのリンクを設けている。また、Geminiアプリの検索結果にリアルタイム情報を取り込むため、Associated PressやEstadaoとも連携を深めているという。
Googleは、AIによる検索体験が広がるなかで、Webパブリッシャーにトラフィックと価値を還元しながら情報アクセスを改善することが不可欠だとしており、引き続き多様な規模のメディアやクリエイターからのフィードバックを得ながら取り組みを進めていくとしている。
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