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インキュデータ経営層の本棚をのぞき見 SB・博報堂などの合弁会社、社長や取締役の愛読書はIT経営者の本棚(1/4 ページ)

今をときめくIT・Web関連企業の経営者の本棚や愛読書をのぞき見。今回はソフトバンク、博報堂などが設立した合弁企業で、データ活用などのコンサルティングを手掛けるインキュデータ経営層の本棚や愛読書をのぞき見る。

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 「本棚は人柄を表す」「読書をすれば人生が変わる」などとよくいわれる。実際、仕事で必要な知識や考え方を、読書を通して学ぶ人も多いだろう。とはいえ仕事で忙しい中では、成長や学びにつながる本を効率的に探すのは難しい。

 そこで本連載では、今をときめくIT・Web関連企業の経営者の本棚や愛読書をのぞき見。現代社会で戦うIT経営者たちがどんな考え方に影響を受けているのか、ヒントを探る。今回はソフトバンク、博報堂、英Arm(設立当時)が設立した合弁企業で、データ活用などのコンサルティングを手掛けるインキュデータ経営層の本棚や愛読書をのぞき見る。

※本文中のプロフィールは取り上げた企業が提供したもの、またはその企業公式サイトから引用したものです。

町田紘一代表取締役社長の愛読書

読んでいる本についての全体的な傾向

 学生時代においては、特段に読書習慣が確立していたわけではありませんでした。社会人になってからは、読者を体系的に素早く学ぶ手段として位置付け、20代前半から後半にかけて、いわゆるMBA領域のファイナンスや戦略関連の書籍、一般的なビジネス書や小説に至るまで、多読を通じて知識量の拡充を図ってきました。

 公私で忙しくなり、落ち着いて時間の確保が難しくなった現在においては、読書との関係性も質的に変化しています。日々の経営における業務遂行においては、戦略、組織、人の問題に至るまで、多様な意思決定に直面します。こうした状況下で、読書は思考整理の手段、あるいは課題解決の示唆を得るためのヒントとして位置付けるに至っています。

印象に残っている本

 1冊目は「道具としてのファイナンス」(石野雄一著)です。体系的な理解が難しいファイナンス理論を分かりやすく解説し、かつ実際のビジネス現場でどう活用するかを意識して書かれた本です。

 投資の採算性をどう見るか? NPV(正味現在価値)やIRR(内部収益率)の考え方、デットとエクイティの最適なバランスなど、ファイナンスの基礎的な知識の多くをこの本で学びました。最近は手に取ることは無くなりましたが、事業企画・経営企画やM&A業務に従事していたころは、幾度となく読み返したりしてお世話になった感慨深い一冊になります。

 2冊目は「峠」(司馬遼太郎著)です。恐らく、この連載を読まれている多くの人が手に取ったことがある書だと思います。大学の友人に勧められて、本書を初めて手に取ったのは20代前半のころ。当時も主人公・河井継之助の生き方に感銘を受けましたが、歳を重ねるごとに主人公への共感は大きくなる本です。

 時代や置かれた境遇に翻弄されながらも、必ずしも本意ではない中で長岡藩の家老として使命を全うする継之助の姿に、転勤や異動も含めて組織の論理に振り回されながら日々の仕事を遂行する自分自身を重ね合わせられる部分が、私も含めて多くのビジネスパーソンに本書が読まれるゆえんだろうと推察します。

 3冊目は「2020年6月30日にまたここで会おう」(瀧本哲史著)です。本書が発売されたのは、ちょうどコロナ禍での在宅勤務を余儀なくされていた頃。外出制限がある中では時間的な余裕もあり、これまでの仕事や人生などさまざまなことに改めて思考を巡らす中で本書を手に取りました。

 東大での著者による2時間講義をライブ中継的にまとめたもので、これから待ち受ける人生に対してのスタンスや思考について、激励と強烈なメッセージが続きます。若者向けではありますが、その内容は経験を積んだ大人でも琴線に触れるフレーズがいくつもあり、読後感として勇気をくれる1冊です。

プロフィール

 2002年に日本テレコム(現・ソフトバンク)に入社後、データセンター、デジタルサイネージ、デジタルマーケなどの通信以外の新規領域において、戦略策定、経営管理、M&A、投資先支援などに従事。19年にインキュデータ取締役に就任し、創業に参画するとともに事業拡大や経営戦略の推進を担う。23年に代表取締役社長兼CEOに就任。


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