ローカルAIはNASをどう変える? Zettlab「D4」使って分かったその利便性と将来性(2/3 ページ)
今回紹介するのは、中国深圳発のスタートアップであるZettlabの「Zettlab AI NAS」。その名の通りAI機能を統合した次世代のNASです。特筆すべきは、いわゆる“ローカルLLM”をインストール可能である点です。
「NAS」として実用的
D4はNASとしての基本性能がしっかりしています。プロセッサはRK3588(8コア、6 TOPS NPU搭載)、メモリは16GB LPDDR4xを搭載しています。ドライブベイは4ベイ(SATA)で、最大100TBまでのストレージに対応し、複数のRAIDモードもサポートしています。ネットワークは2.5GbE LANポートを備えており、高速なデータ転送が可能です。
対応プロトコルも充実しています。SMB、FTP、WebDAV、NFS、Rsync、DLNAといった主要なプロトコルに対応しており、様々な環境で利用できます。オペレーティングシステムのZettOSは、ユーザーフレンドリーな設計で、Apple風のシンプルなUIが特徴です。
アプリストアも搭載されており、ワンクリックでアプリをインストールできます。クロスデバイス同期機能により、PC、スマートフォン、クラウドストレージ間でシームレスなデータ同期とバックアップが可能です。
その他、4Kホームメディアハブ機能があり、HDMI接続で4K 60Hz再生に対応しています。フォトアルバム機能もあるので写真の整理も楽になります。システム更新もスムーズで、ストレスを感じることはありませんでした。なお、今回は十分にテストできませんでしたが、DropboxやOneDriveといったクラウドストレージとの連携も可能です。
実際にローカルLLMが動いている「AI NAS」
このZettlab AI NASが、ただのNASではないというのは、名前にも入っているように、すでにNASでAIが動いているという部分です。
Zettlab AI NASの特徴の一つは、まずはNAS上でAIが動作する「ZettAI」。これは、Zettlabの独自仕様のものとなっており、画像、音声、動画、文書といった様々なファイルを自動で分析し、インデックスを作成する機能です。オン/オフ可能な設計になっており、学習には時間がかかりますが、その処理をスケジューリングすることも可能です。ただ、このレベルのAI利用であれば、これまでにもいくつか対応しているNASはありました。
特筆すべきは、それ以外にいわゆる“ローカルLLM”をインストール可能である点です。1年ほど前までは、ローカルLLMを動かすというだけでも、かなり大変なことでした。その時期のGPUの高騰ぶりを記憶している人たちもいるのではないかと思います。
それが、今やNASに好きなLLMをインストールして使うことができ、自分の管理下にあるデータ上でローカルLLMを利用できるというのは、驚くべき進化です。Gemma、Llamaといった知られたローカルLLMを、ユーザーが選択して、ワンクリックでインストールして起動できます。コンテキストの長さやCPU数、温度といったパラメータの調整も可能です。
性能としては、今どきのChatGPTなどの最新AIには当然及ばないまでも、自分が保存したファイルしかないNASで曲がりなりにも名前の知られたローカルLLMを起動できるというのは、やはりすごいことだと思います。しかも、複数インストールして、必要に応じて切り替えることもできます。
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