ブルーレイはなぜ、DVDより先に「オワコン化」したのか タイミングを逃し続けた“勝者”の末路:小寺信良のIT大作戦(1/3 ページ)
ソニーが今年2月にブルーレイメディアの生産を終了。HD-DVDとの規格戦争に勝利したはずのブルーレイが、なぜDVDよりも早く市場から姿を消そうとしているのか。高価な初期製品、ハイビジョン録画の普及遅れ、ストリーミングの台頭――。"常にタイミングを逃し続けた規格"の歴史を振り返る。
2025年2月にソニーがBlu-rayディスクメディアの生産を終了した。同時にMDやミニDVカセットも終了した。ソニーのプレスリリースには終了理由は書かれていないが、日本企業が国内で製造するメリットがなくなった、ということだろう。
ディスクメディアで名をはせた国内企業に、太陽誘電がある。だがこちらはすでに15年という早い段階で撤退している。
ソニーのBDメディア生産終了の影響は、コンシューマーでは軽微だろう。利用者もまだ存在するため、すぐに市場から消えるわけではなく、需要がある限り台湾などの国外メーカーが作り続ける。
実はソニーのBDメディア生産終了は、プロの方が影響が大きい。ソニーではBlu-rayディスク開発で得られた知見をベースに、放送用記録メディアである「XDCAM」用ディスク、「Professional Disc」を製品化した。Blu-rayとの互換性はないが、技術的背景はかなり近い。
Professional Discディスクは、ポストプロダクションや製作会社から放送局の番組納品メディアとして利用されている。現時点ではProfessional Discの生産終了は公式には発表されていないが、20年にはCM納品専用ディスクであった「30PFD23ACM」の販売を終了した。それ以降放送局のCM納品は、ファイルベースへ移行している。
今年の「Inter BEE」では、番組納品もファイルベースで行うなど、「XAVC」ファイルをワークフローの中心に据えていく方向が示された。これは暗にXDCAMディスクメディアの終了を見据えてのソリューション展開だろう。
加えてソニーでは、Professional Discをデータ用に特化させた「Professional Disc for DATA」を開発・商品化した。専用ドライブと合わせて、業務用バックアップシステムを構築するものだった。
その後、同じくBlu-rayの技術を使い、パナソニックと共同で「オプティカルディスク・アーカイブ」を商品化している。これも専用カートシステムでライブラリ管理を行うものだ。
だがこれも25年3月いっぱいで、商品の販売が終了した。カートリッジは引き続き入手可能としているが、現在も生産し続けているのかは分からない。大量に在庫しているだけで、生産自体は終了している可能性もある。ただこれ以上ハードウェアが入手できないのでは、実質的にはシステムの終了である。
保守的なプロの世界でも、ディスクメディアは終わりの準備に入っている。
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