ブルーレイはなぜ、DVDより先に「オワコン化」したのか タイミングを逃し続けた“勝者”の末路:小寺信良のIT大作戦(2/3 ページ)
ソニーが今年2月にブルーレイメディアの生産を終了。HD-DVDとの規格戦争に勝利したはずのブルーレイが、なぜDVDよりも早く市場から姿を消そうとしているのか。高価な初期製品、ハイビジョン録画の普及遅れ、ストリーミングの台頭――。"常にタイミングを逃し続けた規格"の歴史を振り返る。
Blu-rayはなぜ続かなかったのか
ビデオ用光ディスクの歴史は、競合の歴史ともいえる。市販ソフト用のフォーマットは早期に決まったが、書き込み型のメディアフォーマットは規格が乱立した。
00年代初頭のDVD時代には、DVD-R/RWとDVD+R/RWとDVD-RAMが、推進メーカーのにらみ合いという格好で競合した。競合は製品開発を加速させる。この頃からテレビ録画用のレコーダーはHDDとDVDメディアのハイブリッドとなり、VHSに代表されるテープの時代を急速に終焉に向かわせた。
乱立と言われたDVDフォーマットの競合を終わらせたのは、5フォーマットが全部読み書きできるというドライブの登場だった。なんとも力業だが、これにより選択はユーザーに任されたことは大きい。最終的に生き残ったのがDVD-Rだったのは、規格としての優位性というよりは、メディアの値崩れが一番顕著だったからだと思っている。
一方Blu-rayは、03年にスタートした地上デジタル放送のハイビジョンに対応できるとして登場したものの、初期型はメディアがカートリッジタイプで、レコーダー自体も45万円と高価だったため、大半の消費者は「見送り」状態であった。
06年にDVDの正式な後継フォーマットとして「HD-DVD」が登場すると、Blu-rayと競合した。Blu-ray陣営は対抗のために規格を変更して、カートリッジなしの現在の姿に舵を切った。
どちらとも決着がつかない膠着状態が続いたが、HD-DVDが市場撤退を決めたのは08年で、そこでフォーマット戦争が終結し、Blu-ray1本となった。
しかし地上ハイビジョン放送が始まってすでに5年が経過しており、ユーザーはハイビジョン番組はHDDに録画すれば十分と考えるようになっていた。さらに保存するなら、SD解像度にダウンコンバートしてDVD-Rに記録しなければならないという、なんとも中途半端な状態に置かれたことで、記録メディアに対する依存度が下がった。
よってBlu-ray陣営は記録メディアよりも、映画タイトルを販売するためのパッケージフォーマットとしての方向性を重視していった。レコーダーのBDドライブは、ディスクメディアのプレーヤーとしての役割を担うようになっていった。
つまりBlu-rayは、規格が一本化されたときにはすでに記録メディアとしては、あまり期待されていなかった。時代に乗り遅れたのだ。
以前作成した、BDレコーダー/ブレーヤーの出荷台数推移のグラフを再掲載しておく。レコーダーの11年の急激な伸びは3Dブームだったわけだが、それも急速に収束したことが分かる。それ以降の推移を見ても、右肩上がりとはいえない。
つまりBDレコーダーは、規格が統一されて以降、3Dブーム以外では需要が伸びたことはなかった。
PC用バックアップメディアとして考えても、ドライブの価格とディスクの価格を考えれば、それほどコスパがいいわけではない。ちょっと人にデータを渡す用途であれば、容量を上げてきたUSBメモリで対応できた。
のちにセキュリティの問題からUSBでのデータ渡しが禁止されても、コスパと容量の関係から、CD-RかDVD-Rで十分だった。
一方映像の高解像度化が進行し、放送用では08年頃から、コンシューマーでは13年頃には4K対応カメラが登場してきた。カメラとテレビが先行したが、Blu-rayが規格を拡張して4K記録対応になったのは16年である。ここでも3年のブランクがある。
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