毎日1〜2本の「シャウエッセン」→“食べる能力”が向上 北大と日本ハムが高齢者35人で実験:Innovative Tech
北海道大学大学と日本ハムに所属する研究者らは、かみ応えのある食肉加工品を継続的に摂取することで、高齢者の口腔機能低下が改善する可能性を示す研究報告を発表した。
Innovative Tech:
2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説する。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。X:@shiropen2
北海道大学大学と日本ハム株式会社に所属する研究者らが発表した論文「The effects of foods that require frequent chewing on oral function: A pilot study」(プレスリリース)は、かみ応えのある食肉加工品を継続的に摂取することで、高齢者の口腔機能低下が改善する可能性を示す研究報告だ。
口腔機能低下症は、加齢や疾患などさまざまな要因によって口腔の機能が複合的に低下する疾患だ。放置すると、そしゃく障害や摂食嚥下障害に陥り、食べられる食物の種類や量が減少することで栄養摂取バランスが崩れ、低栄養やフレイル、サルコペニアの進行につながることが知られている。
研究チームは、簡便かつタンパク源であるソーセージの「かみ応え」に着目し、地域在住高齢者および北海道大学病院歯科外来患者35人を対象に、1日1〜2本のソーセージ(シャウエッセン)を3カ月間摂取する介入試験を実施した。介入前後で口腔機能低下症の診断に用いる7項目の検査を行い、測定値と機能低下該当数を比較した。
その結果、介入を完了した31人において、口腔衛生状態、舌口唇運動機能、そしゃく機能の測定値、機能低下該当数に有意な改善が認められた。
なおこの研究は比較対照群のない単群のパイロット研究であり、結果の解釈には注意が必要だが、かみ応えのある食品を継続摂取することで口腔機能改善につながる可能性を示唆している。
Source and Image Credits: Miura, K., Inamoto, K., Ozaki, K., et al.(2025). The effects of foods that require frequent chewing on oral function: A pilot study. Presented at the 11th Asian Conference for Frailty and Sarcopenia, Kaohsiung, Taiwan.
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