卒業研究は“レールガン” 米海軍兵学校の学生が自作、2022年に発表 マッハ1で弾丸を発射:ちょっと昔のInnovative Tech
2022年、米海軍兵学校の士官候補生7人が、卒業研究プロジェクトとして移動式レールガンシステムを開発した。
ちょっと昔のInnovative Tech:
2019年の開始以来、多様な最新論文を取り上げている連載「Innovative Tech」。ここではその番外編として“ちょっと昔”に発表された世界中の個性的な研究論文を独自視点で厳選、解説する。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。X:@shiropen2
2022年、米海軍兵学校の士官候補生7人が、卒業研究プロジェクトとして移動式レールガンシステムを開発した。
レールガンとは火薬ではなく電磁力で弾丸を発射する装置で、日本でも防衛装備庁が研究開発を進めている。洋上射撃の実験を行い、その様子を映した動画も公開している。
(関連記事:放てレールガン! 防衛装備庁が洋上射撃実験の動画を公開)
士官候補生たちが開発したレールガンはマッハ1(時速約1240km)で弾丸を発射でき、自動装填機能により1時間に30発の射撃が可能となっている。
当時レールガンを開発したカルロス・ペレスさんら7人は、電気・コンピュータ工学科のジョン・スティーブンス大佐とクリス・マルティーノ中佐の指導のもと、合計100時間以上をこのシステムの開発に費やしたという。
ペレスさんは「高校時代からレールガンの物理学に魅了されてきた。物理学を学びたいと思った理由の一つであり、このチームに入るために懸命に努力した」と語っている。
このプロジェクトは当時、4年目の継続研究だった。3年目のチームが研究室内での組み立てと発射に成功したのに対し、ペレスさんたちのチームは回路の小型化、代替電源の確保、4輪駆動のポラリス車両への搭載を実現し、大きく前進させた。
スティーブンス大佐は「9年間士官候補生の卒業研究を指導してきたが、範囲、リスク管理、運用試験の面でこれほど難易度の高いものはなかった。国防総省の用語で言えば、概念実証段階から実運用環境でのシステム試作実証まで到達した」と評価している。
なお26年2月19日時点では、後継機などの発表は確認できていない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
放てレールガン! 防衛装備庁が洋上射撃実験の動画を公開
防衛装備庁が、研究開発を進めている兵器「レールガン」の動画をYouTubeに掲載した。試験艦「あすか」に搭載したレールガンの洋上射撃実験を収めており、さまざまな射角で弾頭を発射する様子やそのハイスピードカメラ映像、標的船を射撃する様子などを確認できる。
船を撃ち抜け、レールガン──装備庁、夏に実施した“洋上射撃試験”を解説 早期装備化に一歩
レールガンの洋上射撃試験、その内容とは──防衛装備庁は、研究成果を発表するイベント「防衛装備庁 技術シンポジウム2025」を開催した。その中で電磁加速装置こと“レールガン”研究の進捗を報告した。
レールガンの洋上射撃試験に成功──装備庁が報告 長射程射撃&船への射撃で成果
レールガンの洋上射撃試験に成功した──防衛装備庁は、公式X(@atla_kouhou_jp)でそんな報告をした。海上自衛隊の試験艦「あすか」に搭載したレールガンから、標的船への射撃や長射程射撃などに成功したという。
レールガンの“ちょっと先の姿”、防衛装備庁が公開 陸上での運用も検討中
幕張メッセで21日に開幕した「DSEI Japan」で、防衛装備庁が研究開発を進めている「レールガン」の模型を展示した。艦載型の他、陸上での運用も検討しているという。
自衛艦隊司令官が「レールガン」視察 試験艦「あすか」を訪問
海上自衛隊の第一線部隊「自衛艦隊」司令官の大町克士海将が4月9日に、防衛装備庁が開発中の「レールガン」を視察した。18日にはその様子を公式サイトで公開。大町海将が試験艦「あすか」を訪れ、レールガンの最新状況を視察する姿を画像で公開した。
