EV購入で最大130万円引き テスラも実質404万円台で買える「CEV補助金」 中には”輸入車格差”も:走るガジェットTeslaに乗ってます(2/2 ページ)
1月からスタートした「CEV補助金」の増額。経産省は上限を最大130万円に増やしたことで、トヨタ「bZ4X」などの国内勢だけでなく、Teslaなどの海外勢にも恩恵が出ている。例えば、Tesla Model 3 RWDは実質404万円台で購入可能になったが、その一方で中国BYDは据え置きのまま。CEV補助金の恩恵と輸入車に設けられた“格差”について考察する。
輸入車に対する補助金は不要か?
「輸入車(特に中国製EV)に対する補助金は必要ない」という意見も多く目にします。しかし、国内生産の日本車だけを優遇すると、様々な条約や国際協定、WTOなどの貿易ルールに抵触します。
これを言うと昨今のレアアースの事実上の輸出制限からも分かるように「中国だって貿易ルールに抵触することを平気でやっている。不公平だ」と怒りをあらわにする人もいるでしょう。ただ、“ジャイアン”な中国を相手に国際的なルールに抵触するような所業を行うと、倍返しで“返り血”を浴びる可能性もあるわけで、日本政府としてそこまで踏み切れるのか、という話になります。
ジャイアンと言えば、トランプ政権にも言えるでしょう。輸出が中心の日本の自動車産業に大きな影響を与える「トランプ関税」などは、国際規範などどこ吹く風で、日本を含む世界各国に大きな経済的混乱を与えているわけです。
WTOには輸入制限(関税・数量制限など)などを正当化する例外的な項目が設けられていますが、大国の横暴の前に機能不全に陥っています。トランプ大統領は、関税に限らず、他の分野でも米国の国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠として議会の事前承認など介さずやりたい放題というのは、日々のニュースからもお分かりでしょう。まさに専制君主ドナルド1世(©ロバート・デ・ニーロ氏)と揶揄されるゆえんです。
日本政府としては、ジャイアンを怒らせないように、報復を受けない範囲でずる賢く日本国の利益を最大化するよう上手に立ち回る必要があるわけです。ダボス会議でのカーニー首相の演説ではないですが、「何でも大国の言いなりかよ」と、忸怩たる思いにも至りますが、大国の横暴に加え、魑魅魍魎が跋扈する外交の難しさといったところでしょう。
BYDの補助額は据え置き
話を補助金に戻します。今回、中国BYDの補助額については、増額なしの据え置きです。これは霞が関のお役人が、算出ロジックを上手に設定することで、ある意味BYDに不利な仕組みを構築したのではないかと推測しています。あくまでも筆者の推測です。
補助金額は主に「車両性能」「充電インフラ整備への取り組み」「整備の体制/供給の安定性/安全性」などの項目を点数制で評価します。ちなみに、「車種ごとのサイバーセキュリティへの対応」などという項目もあり、想像論・印象論として、中国企業的には不利かなと...。
令和7年度補正予算における車両補助金総額は、1100億円です。筆者のような門外漢では調査しきれませんが、輸入車EV狙い撃ちで補助金を支給せず、米国や中国から報復措置を受けた際の経済的な損失額を考慮した場合、もしかしたら1100億円など簡単に上回る可能性もあるのではないでしょうか。物事の一面だけを見て「EVに対する補助金などけしからん!」というのはどうかな、と思うわけです。経済安保や外交って難しいものですね。
著者プロフィール
山崎潤一郎
音楽制作業の傍らライターとしても活動。クラシックジャンルを中心に、多数のアルバム制作に携わる。Pure Sound Dogレコード主宰。ライターとしては、講談社、KADOKAWA、ソフトバンククリエイティブなどから多数の著書を上梓している。また、鍵盤楽器アプリ「Super Manetron」「Pocket Organ C3B3」「Alina String Ensemble」などの開発者。音楽趣味はプログレ。Twitter ID: @yamasakiTesla
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「モデル3」なら最大85万円 テスラ購入で外せない「CEV補助金」の話 支給されて分かったこと
iPhoneにタイヤをつけたようなクルマ」と表現されるTesla。この未来からやってきたクルマを連載形式でレポートします。今回はEV補助金について触れます。EV購入時に日本政府が補助金を支給しているのはご存じでしょう。
充電代は抑えられた? “ノーSC縛り”の結果は――テスラで挑む「横浜→岡山」往復1500km旅【後編】
2024年11月末に実施したTesla「Model 3」による横浜と岡山往復1500kmの旅の復路編です。往路では低燃費をたたき出しましたが、復路では、新東名高速道路の静岡区間において、できる限り120km/hをキープして走行したことによる通常時との燃費の差にも言及しています。
テスラよ、日本を仲間外れにしないで モデル3オーナーのホンネ
納車から2年半が経過し、日々、満ち足りたカーライフをTesla Model 3と共に過ごしています。とはいえ、100%手放しで喜べることばかりではありません。今回は、Model 3やTeslaの「ここが好き」「ここが嫌い」というテーマで語ります。
エンジン車の燃費と全く違う“電費のクセ” テスラ「モデル3」の場合
Model 3を日々運用しているとエンジン車時代の常識では計り知れない状況に直面することがあります。その1つが「電費」です。エンジン車で言うところの「燃費」です。本稿では、Model 3の電費について考察します。
2年乗ったテスラ「Model 3」の下取り価格は? その乱高下っぷりとバッテリー劣化の関係
アンチTeslaな人たちの高笑いが聞こえてきそうです。というのは、Tesla Model 3のリセールバリューが急落しているからです。本当に二束三文になるかどうかはわかりませんが、少なくとも筆者のModel 3でいうと、昨年から今年にかけて価値が急落したことは確かです。
