日本勢が取り込みづらい“エモ需要”まで――カメラ市場に欠かせなくなった中国ブランド群:小寺信良のIT大作戦(2/3 ページ)
カメラと写真のワールドプレミアショー「CP+」が、今年もパシフィコ横浜で開催された。その会場で、際立っていたのは中国メーカーの存在感だ。"エモい"写りへの需要の高まりを追い風に、日本のカメラ市場は中国ブランド抜きには語れなくなっている。
独特の設計を得意とするLAOWA
「LAOWA」は昨今シネマレンズで急速に認知度が高まっている、中国Venus Optics(安徽長庚光学科技有限公司)のトップブランドである。ユニークな光学設計を得意とするメーカーだが、新製品として紹介されていたのが、フルサイズ用17mm/F4の「Xero-D Tilt-Shift」レンズだ。
Tiltレンズは、ピントの合う範囲を物理的に調整できるので、被写界深度だけでは調整できなかったボケを設定することができる。実写をミニチュアっぽく撮影するなどの効果で見たことがある人も多いだろう。
一方Shiftレンズは、レンズを横方向にスライドさせることでパース感が調整できるもので、建築撮影などでよく使われる。
TiltレンズとShiftレンズは用途が違うので別々のレンズとして存在しているわけだが、このレンズは2つの機能を1本に併せ持つレンズである。同時に使う、というケースがあるのかは分からないが、両方を撮影する機会がある人には別々にレンズを購入しなくて済む。
発売時期は未定だが、年内には発売したいという。価格は約28万円の見込みだが、そもそもが建築などの業務用レンズであることを考えれば、そう高くはない。
盛り上がるプリンタ内蔵コンデジ、トイカメラ市場
SAEDAは「Holga」や「LOUPDECK」といった製品を手掛ける日本の輸入代理店だが、4月より自社ブランド「BECKS」にて、中国製低価格コンパクトデジカメでカメラ業界へ参入する。
「B-Quest BQ-1」は一見ライカっぽいデザインの単焦点コンパクトデジカメだ。10x Powerful Zoomという記載も見えるが、10倍のデジタルズームである。背面には大型液晶モニターを装備するほか、なんと背面にインカメラがあり、液晶面側での自撮りにも対応する。Wi-Fi接続も可能で、スマートフォンとの連携も可能だ。4月発売予定で、価格は約1万8000円の見込み。
また液晶画面を省略して光学ビューファインダーだけで撮影するという、「B-Quest ND-1」というコンパクトデジカメも発売する。カラーバリエーションが豊富で、一見するとレンズ付きフィルムのようにも見える。こちらは約5000円の見込みだというから、どちらかというとトイカメラに近い製品だ。
現在トイカメラは、カメラの形をしながらも小さいという製品が主流だが、普通のカメラサイズでのトイカメラというのは、また新しい潮流となるかもしれない。
中国メーカーのXiamen Haninは、Hanin(ハンイン)ブランドでプリンタ付きインスタントカメラ「Z5S」および「M6」など複数の製品の日本発売を予定している。
同社はもともと昇華型の小型プリンタを得意としており、すでにラベルプリンタやフォトプリンタは25年夏よりLoftやエディオンなどの量販店で日本でも販売されている。
今回発売予定の両カメラも昇華型プリンタを内蔵しており、印画紙が3回出入りして3色を印刷し、カラープリントできるという仕掛けだ。インクと用紙が消耗品となるが、それを1パッケージにして簡単に交換できるようになっている。
こうしたインスタントカメラは、富士フイルム、米Kodak、露LOMOらがほそぼそとしたビジネスを展開してきたが、昨今のコンパクトデジカメブームによって大化けの可能性が出てきている。どうしてもサプライ品が必要になるため、その入手性が課題になるところだが、それも含めてどれぐらいの価格で勝負できるのか、注目したい。
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