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「売上99.7%が架空取引」 KDDI、ビッグローブら子会社2社の広告代理事業巡り調査委が公表

「ビッグローブ及びジー・プランにおける広告代理事業の売上のうちおおむね99.7%が架空循環取引だった」──KDDI子会社と孫会社の不祥事を巡り、特別調査委員会が事実関係の調査結果を発表した。主導したのはジー・プランからビッグローブに出向していた人物で、協力者も1人いた。調査結果を受け、KDDIは2026年3月期第3四半期までの連結売上高計2461億円を遡及して修正する。

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 「ビッグローブ及びジー・プランにおける広告代理事業の売上のうちおおむね99.7%が架空循環取引だった」──KDDI子会社と孫会社の不祥事を巡り、特別調査委員会は3月31日、事実関係の調査結果を発表した。主導したのはジー・プランからビッグローブに出向していた人物で、協力者も1人いた。調査結果を受け、KDDIは2026年3月期第3四半期までの連結売上高計2461億円を遡及して修正する。

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KDDIの松田浩路社長

 対象の事業は、上流の広告代理店と下流の代理店とのWeb広告取引を仲介し、対価として成果件数に応じた手数料を受け取るもの。17年ごろにジー・プランで同事業を立ち上げた主導者は、業績が想定を下回ったことから、赤字を補填するため、広告主からの委託が存在しないにもかかわらず、架空の広告掲載業務を受発注。自身に恩義を抱いていたという協力者の助力のもと、ジー・プランとビッグローブの取引先計218社のうち21社との間で、18年8月から25年12月まで架空取引を継続していた。

 2人は上流・下流の代理店同士が極力接触しないようにしたり、他の役職員が関与しないようにしたりするなど、発覚を免れる対応も行っていた。しかし25年2月以降、KDDIの経営戦略会議でビッグローブの広告代理事業を巡りコンプライアンスリスクが懸念され、監査役は調査を開始。10月に架空取引の可能性を把握した。11月には主導者が一部の広告代理店と口裏を合わせ、発覚を回避しようとしたが、12月に上流代理店の一部からの入金が遅滞。最終的に主導者が架空取引を認めた。

 2人は架空取引について、私的な利益のために行ったわけではないと説明している。ただし主導者については一部の上流代理店から23年9月から25年12月にかけ、飲食代として約3000万円を受け取っていたことも分かったという。調査委は「かかる利益享受が、主導者が取引を中止しなかった一因になっていた可能性があることも否定できない」と指摘している。一方、協力者は取引の全容を把握しているわけではなかった。

 なお、2人の他に関係者はおらず、調査委は「KDDI、ビッグローブ、ジー・プランの組織的な事案ではない」と判断している。

KDDI松田社長「痛恨の極み」

 KDDIの松田浩路社長は同日の記者会見で「痛恨の極み」と謝罪。調査結果を受け、23年3月期から26年3月期第3四半期までの売上高を計2461億円、営業利益を計1508億円、当期利益を計1290億円訂正すると発表した。さらに、松田社長含む経営陣や監査役8人が役員報酬を一部返納する。ビッグローブは主導者・協力者を懲戒解雇処分の上、代表取締役社長など4人が辞任。ジー・プランも社長と副社長が辞任する。

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謝罪するKDDIの松田浩路社長

 松田社長は事案の原因として、ジー・プランには特定担当者への業務の集中や、発注・支払いプロセスにおける権限分離の不十分さ、ビッグローブには急激な売上増加時にその実在性を確認しないなどリスク感度の不足や子会社管理不備、KDDIにはPLへの貢献性のみを重視し、市場規模の精査を怠るキャッシュフローマネジメントの不足があったと説明。ジー・プランは属人化リスクの可視化や対応、ビッグローブは新規事業のリスク分析、KDDIは月次採算管理の強化などにより、再発防止を目指すとした。

 これに伴い、2026年3月期第3四半期通期の連結業績も下方修正する。売上高は6兆600億円(期初予想から4.3%減)、営業利益は1兆900億円(同7.5%減)に変更した。ただし原因は架空取引だけでなく、モバイル事業の環境変化も織り込んだとしている。さらにビッグローブ、ジー・プランは広告代理事業から撤退する。

 「本事案は3社の各階層に改善すべき課題があった。事業が多角化していく中、グループ経営については議論を重ねてきたが、とりわけ新規事業に関する理解、求められる人材像についての対話が十分でなかったことが課題として露呈した」(松田社長)

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