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胃カメラもバリウムも使わない、胃の新しい検査法 名市大と金沢大が開発 発泡剤&CT撮影で内部を立体観察

名古屋市立大学や金沢大学による共同研究グループは、内視鏡(胃カメラ)を使わずに胃の内部を立体的に観察できる「バーチャル内視鏡検査法」を発表した。

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Innovative Tech:

2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説する。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。X:@shiropen2

 名古屋市立大学や金沢大学による共同研究グループは、内視鏡(胃カメラ)を使わずに胃の内部を立体的に観察できる「バーチャル内視鏡検査法」を発表した

 従来の胃がん検診ではバリウムの服用や内視鏡の挿入が不可欠で、誤嚥(ごえん)や便秘、身体的・心理的な苦痛が長年の課題だった。本検査法はそうした負担を一掃し、検診の在り方を「飲む」から「撮る」へと変えるアプローチだ。

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発泡剤を用いたCT撮影から独自ソフトウェアによる画像処理、VR180フォーマットでの立体画像生成、VRゴーグルでの観察までの一連のワークフロー

 新しい検査法では、患者は胃を膨らませるための発泡剤を飲むだけでよく、あとはCT装置で撮影するのみ。得られたCT画像に独自の処理技術を施すことで、あたかも胃の内部を直接のぞき込んでいるかのような没入的な3D画像が生成され、VRで観察できる。

 使用するCT装置は愛知県内に2台しかない「SOMATOM Force」の最新バージョンで、2本のX線管による超高速スキャンが胃の動きに伴うブレを抑える。独自開発の写実的レンダリング技術により実物に近い質感の3D画像が得られ、胃壁を死角なく観察できるほか、肝臓や膵臓など上腹部の臓器も一度の検査で確認できるという。

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実際の内視鏡画像(左)と、CT画像から生成した画像(右)

 コントラストが高い組織に対して不要なX線をカットする「プレフィルタ技術」を活用することで、日本の診断参考レベル(14.0 mGy)を下回る低線量撮影を追求しており、被ばくの面でも従来の胃X線検査より安全性が高いとしている。

 成果は2026年3月20日の第8回日本消化管バーチャルリアリティ学会で発表された。

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