「半導体部品の調達コストが4倍から10倍に急騰している」と米ストレージベンダーCEO 製品価格への転嫁進む
エンタープライズ向けストレージベンダーとして知られるEverpure(旧Pure Storage)の会長兼CEOであるチャールズ・ジャンカルロ(Charles Giancarlo)氏は、4月23日付けで公開した同社のブログ「サプライチェーンの深刻な混乱に関するお客様へのお知らせ」で、同社製品の価格を70%値上げすることの背景として、この約1年で同社が調達する主要な半導体部品の調達コストが4倍から10倍にまで急騰していることを明らかにしました。
この記事は新野淳一氏のブログ「Publickey」に掲載された「企業向けストレージベンダのCEO、半導体部品の調達コストが4倍から10倍に急騰していると説明。製品価格を70%値上げ、今後さらなる値上げも」(2026年5月11日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。
エンタープライズ向けストレージベンダーとして知られるEverpure(旧Pure Storage)の会長兼CEOであるチャールズ・ジャンカルロ(Charles Giancarlo)氏は、4月23日付けで公開した同社のブログ「サプライチェーンの深刻な混乱に関するお客様へのお知らせ」で、同社製品の価格を70%値上げすることの背景として、この約1年で同社が調達する主要な半導体部品の調達コストが4倍から10倍にまで急騰していることを明らかにしました。
そのうえで、この高コスト環境は今後数年にわたり継続する可能性があるともしました。
オールフラッシュ専業ベンダーとして登場したEverpure
Everpureは、2011年にオールフラッシュ専業のストレージベンダーとして登場(当時の社名はPure Storage)。13年には日本法人を設立し日本国内への本格参入を果たしています。
当時、高価なNAND型フラッシュメモリを用いたオールフラッシュストレージはまだ一般的ではなかったため、同社は先進的なストレージベンダーの1つとして急速に頭角を表していきました。
参考:フラッシュストレージ市場が日本でも本格化。Violin Memory、Pure Storageが相次いで国内参入
その後、大手ストレージベンダーの一角を占めるようになった同社は、ストレージだけでなくAI時代のデータマネジメント領域にも注力するとして今年(26年)3月に社名をEverpureに変更することを発表しています。
主要な半導体部品の調達コストが4倍から10倍に
その同社CEOが今回明らかにしたのは、同社が調達する半導体部品のコストが急騰しているということでした。「サプライチェーンの深刻な混乱に関するお客様へのお知らせ」から引用します(公式の日本語訳を引用します)。
2025年半ば以降、Everpureが調達する主要な高ボリューム半導体部品の調達コストは、300%増から900%増(4倍から10倍)という水準にまで急騰しています。さらに、需要の急増により、半導体メーカーが当初コミットしていた数量を供給できなくなるケースも発生しました。
このコストの急騰を受けて同社は製品価格を値上げせざるを得ず、さらに値上げは今後も続くと次のように説明しました。
こうしたコストの急激な上昇を受け、直近の四半期に価格改定を実施いたしました。年初以降、Everpure製品の価格は平均で約70%上昇しており、今後、再度価格改定を実施する可能性があります。
そのうえで、この高コスト状態は今後数年にわたり継続する可能性があるとの予想も明らかにしました。
残念ながら、この需給の不均衡は、COVID時代の混乱よりもはるかに長期化する可能性が高いと考えております。その理由として第一に、半導体メーカーが限られた製造能力を、より利益率の高いAI関連部品へとシフトしていることがあげられます。その結果、その他用途向けの半導体供給はさらに絞られ、価格上昇を一層加速させています。
第二は、新たな半導体製造施設の立ち上げには、何年もの時間と数十億ドル規模の投資が必要であることです。半導体製造施設は非常に高度な設備を要するだけでなく、建設・導入コスト自体も上昇しています。AIによる需要が今後1年以内に大きく減速しない限り、この高コスト環境は今後数年にわたり継続する可能性があります。
今回明らかにされた半導体部品の調達コスト急騰は同社に限った話ではなく、IT業界全体で起きていることです。
この高コスト環境は今後数年にわたり継続する可能性があるとジャンカルロCEOが予想した通りになるのであれば、サーバやストレージなどハードウェアの価格はしばらく高止まりすることになるでしょう。
企業などの組織でハードウェアやサービスの調達に関わる方々においては、こうした予想を考慮し、あらためて今後の予算についての見直しを真剣に検討すべきと言えそうです。
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