NHK放送技術研究所(技研)は5月21日、目が疲れにくく自然な3次元映像を表示できるライトフィールド方式の薄型VRゴーグルを発表した。これまで約4cmのすき間が必要だったレンズアレイと接眼レンズを接触配置したことで、光学系の奥行きを従来より79%削減した。
技研は、レンズアレイと接眼レンズを実質的に1枚の光学素子として機能させることで光線制御と集光を同時に実現した。光学系の奥行きはこれまで49.5mmだったが、今回は10.5mm。装置が大型化しやすいライトフィールド方式の課題を解決した。
さらに高精細マイクロディスプレイパネルを採用。光の動きを細かく計算して映像を生成するレイ・トレーシング技術を組み合わせることで、高精細な3次元映像をリアルタイムに表示することを確認した。
一般的なVRゴーグルは、左右の目に少しずれた映像を見せて視差による立体感を作り出す。しかし、映像上の物体がどの距離にあっても、目のピントは常にゴーグル内のディスプレイの位置に固定されたまま。「ピントを合わせている位置」と「立体映像として見える位置」がずれるため、長時間の使用で目が疲れやすくなると考えられている。
ライトフィールド方式は実世界と同じように光線を再現する方式で、手前の被写体を見るときは遠くがぼやけて見えるなど、自然な見え方が特徴。目の焦点位置は無意識に調整されるため、技研は目の疲れを抑えた長時間視聴が期待できるとしている。
同研究所は5月28日から31日に開催する一般公開イベント「技研公開2026」で同試作機を展示する。今後は映像の精細さと表示範囲の拡大に向けた改良を進め、教育・医療・エンターテインメント分野への応用を目指すとしている。
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