「Claude Mythos」が1万件以上の脆弱性を発見 しかし修正追い付かず Anthropicが報告書
米Anthropicは5月22日(現地時間)、セキュリティプロジェクト「Project Glasswing」の初期報告を公開した。約50社のパートナー企業が1カ月で高・重大レベルの脆弱性を1万件超発見した成果に加え、同社が独自に進めてきたオープンソースソフトウェアのスキャン結果も公表された。
米Anthropicは5月22日(現地時間)、今年4月に立ち上げたセキュリティプロジェクト「Project Glasswing」の初期報告について、同社が別途進めてきたオープンソースソフトウェアの検査結果と合わせて公表した。
Project Glasswingとは、Anthropicをはじめ、AWS、Apple、Broadcom、Cisco、CrowdStrike、Google、JPMorganChase、Linux Foundation、Microsoft、NVIDIA、Palo Alto Networksの計12組織が創設メンバーとなり、AIモデル「Mythos Preview」を使って世界の重要なソフトウェアインフラの脆弱性を発見・修正することを目的とした共同プロジェクトだ。参加企業は約50社で、各社がMythos Previewを使い、1カ月で合計1万件以上の高・重大レベルの脆弱性を発見した。
Anthropic自身も数カ月にわたりオープンソースソフトウェア1000件超をMythos Previewで検査し、脆弱性の候補2万3019件を検出。その中から、高・重大脆弱性と判断した6202件のうち、外部の専門調査会社6社が抽出した1752件を精査。結果、うち90.6%が実際の脆弱性と確認したと報告している。22日時点で281のプロジェクトに対して計1596件の脆弱性情報を管理者に開示済みで、同社は同日、開示の進捗を公開追跡できるダッシュボードも公開した。
一方で課題も浮かび上がった。脆弱性の「発見」はAIによって加速したが、「修正」する側の人手が追い付いていないと同報告書は指摘する。Anthropicが開示済みの脆弱性1596件のうち、パッチが適用済みなのは同日時点で97件、高・重大レベルに絞ると530件の開示に対して75件にとどまるという。
対応策として、同社は法人向けプラン「Claude Enterprise」の利用者を対象に、コードの脆弱性を自動でスキャンし修正案まで生成するツール「Claude Security」をパブリックβ版として提供開始した。「Claude Opus 4.7」を使う同ツールは、提供開始から3週間で2100件超の脆弱性修正に活用されたという。
また、セキュリティ研究者や侵入テストの専門家に向けて、本来の制限を一部解除した形でモデルを使える「Cyber Verification Program」も新たに始めた。
Anthropicは、Mythos Preview相当の能力を持つAIが今後他社からも登場すると見ており、安全対策が十分に整うまでは一般公開しない方針を示している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
Anthropicの「Mythos」でCloudflareがサイバー防衛テスト──脆弱性発見から悪用までが数分に短縮と警告
Cloudflareは、AnthropicのAIモデル「Mythos Preview」を用いた脆弱性テスト結果を公開した。同モデルはエクスプロイトチェーン構築やPoC生成で高い能力を示した一方、ガードレールの誤作動も確認された。同社はタスクを細分化するパイプラインの構築や防御層の再構築の必要性を指摘している。
Anthropic、金融業界向けに10種のAIエージェントテンプレートを公開
Anthropicは、金融サービス企業向けに10種類のAIエージェントテンプレートを公開した。投資銀行などの専門家を対象に、ピッチブック作成や監査などの業務を支援する。Microsoft 365との連携強化や、外部データプロバイダーとの接続も発表した。
米財務長官とFRB議長が銀行幹部に警告 Anthropicの最新AI巡り、サイバーセキュリティに懸念
ベセント米財務長官とパウエル連邦準備理事会(FRB)議長が今週に、銀行幹部との緊急会合を開き、米Anthropicの最新AIモデル「Claude Mythos」がもたらすサイバーセキュリティ上のリスクについて警告したと、複数の関係筋が9日明らかにした。
AmazonがAnthropicへの出資を最大330億ドルに拡大 AWSで「Claude Platform」利用可能に
AmazonとAnthropicは戦略的提携を拡大し、Amazonの出資総額は最大330億ドルに達する。AnthropicはAWSに1000億ドル以上を支出する契約を締結。最新AIチップ「Trainium3」を含む大規模な計算資源を確保し、急増する需要に対応する。
Anthropic、「Claude」が中国政府系攻撃者に悪用されたと報告
Anthropicは、中国政府支援の攻撃者が「Claude」を悪用し、約30件の攻撃を自動化したと発表した。9月に検知したもので、人間の介入が少ない初の事例だとしている。攻撃者はAIを欺き、偵察や悪用等の8〜9割を実行させた。Anthropicは対策を強化し、AIの防御利用も推奨した。

