持った瞬間「新しい」 新素材のシャープペンシルがわずかな“ひんやり感”を保つ秘密、三井化学とトンボ鉛筆に聞いた:分かりにくいけれど面白いモノたち(4/5 ページ)
トンボ鉛筆が3月に発売したシャープペンシル「FUMI」は、個人的には今年のナンバーワン文房具と言っても構わないと思っているほど新しい。持った瞬間に「新しい」と感じるほど、その持ち心地が心地いいのだ。
一方で、FUMIの企画はSDGsを意識した製品を作るという企画の中で生まれたアイデアが始まりだったそうだ。正確には、NAGORIはSDGs素材ではないのだけれど、結果的に、そこがつながったというのも面白い。
「素材がとても魅力のあるものでしたので、海水由来だというストーリー性を生かしながら、素材の魅力を前面に打ち出したようなデザインペンとして開発したらどうかという話になって開発を進めることになりました」と、トンボ鉛筆商品企画担当の佐藤和明さん。この当初の企画から外れるけれど製品化しようということになるほど、素材に魅力を感じたトンボ鉛筆の開発陣がまた素晴らしい。
実際、FUMIが最近の高価格帯のシャープペンシルでは珍しいくらい、オーソドックスな仕様と機能なのも「素材に注目してもらいたかったから」なのだという。そのくらい、NAGORIという素材が筆記具の軸に向いているという判断を老舗の筆記具メーカーが行ったということだ。
「シンプルな造形にしたのは、もう1つ理由があるんです。手で持った時に触れる部分が多い方が、この熱伝導性の高さとか、ひんやり感を感じやすいと思ったんです。それに、コンセプト的にも自然物から生まれてきたみたいな塊感を表現したデザインにしたかったんです」と佐藤さん。
使ってみると分かるのだけど、この「FUMI」というシャープペンシルの持ち心地、握り心地は、これまでになかった感触なのにも関わらず、どこか懐かしく、手に馴染む。石やコンクリートを軸の素材にした筆記具を使ったこともあるけれど、そこまで冷たくはない、ちょうどいいくらいの“ひんやり”感と、石っぽいけれどもう少し繊細なグリップ感は、筆記具の軸のために作られたとさえ思ってしまうくらい、“握って”、“動かす”道具にピッタリの感触なのだ。
万年筆に於けるエボナイト軸の魅力は、ゴム由来の素材に由来する手に吸いつくようなグリップ感と、手の熱によって手の形に馴染んでいくことだったりするが、NOGORIの魅力は、むしろ手の熱を逃がしてくれるような感触と、サラリとしながらしっかりグリップできる表面の細かい凹凸。長期間使うことを前提とした万年筆と、長時間使うことが多いシャープペンシルの筆記具としての特性の違いが分かりやすく現われているようで、それもまた興味深く感じた。
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