検索
連載

持った瞬間「新しい」 新素材のシャープペンシルがわずかな“ひんやり感”を保つ秘密、三井化学とトンボ鉛筆に聞いた分かりにくいけれど面白いモノたち(5/5 ページ)

トンボ鉛筆が3月に発売したシャープペンシル「FUMI」は、個人的には今年のナンバーワン文房具と言っても構わないと思っているほど新しい。持った瞬間に「新しい」と感じるほど、その持ち心地が心地いいのだ。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

 この新鮮なのに手に馴染む、陶磁器のような感触の素材が、従来のプラスチック同様の工程で量産できるというのが、なんといってもNAGORI最大の利点だろう。まだ、これから普及していく新しい素材だけに、今回のFUMIにしても、税別2000円と、決して安くはないけれど、金属軸のシャープペンシルと比べて極端に高いわけではないし、ましてエボナイト軸の万年筆と比べたら20分の1以下だったりするわけで、十分に普及価格だといえる。


配合の違いによるマーブル模様の入り方の違いのサンプル

 「三井化学さんのお話しで、マーブル成形と相性がいいというのも分かっていました。それで、素材が海のものなので、海の波をイメージしたマーブル模様にすると、非常にコンセプチュアルになるんじゃないかなと考えました。ツルッとさせるより、自然物っぽい感じも出るかなと」と佐藤さん。

 しかも、マーブル模様の入り方は個体差があって、同じ入り方をしたものはない。それが「先端素材ではあるけれど、自然由来のもので、しかも唯一無二の一本になる」(佐藤さん)、というのも、素材と製品両方のコンセプトにピッタリ合う。軸の色によってマーブル模様の入り方を変えていたりもしていて、実はかなり凝ったデザインが施されている製品なのだ。自然物っぽく見せるために様々な手を尽すというのは、工業製品のモダニズムといった感じもあって、それも製品の魅力につながっているのだろう。


軸を直接触ったり、軸を回して模様を確認できるパッケージ

 そういう製品だから、FUMIは、触ってみないとその魅力が伝わらない。デザインに敏感な人なら、その素材感と塊感、マーブル模様の入り方などから「ただ者ではない」感を感じとるかもしれないけれど、見た目もシンプルで目を引く機能もないのだから、うっかりすると見逃してしまう。そこで、パッケージはなんと、箱入りなのに軸を触れるようになっている。さすがに2000円のシャープペンシルを箱なしで売るわけにもいかないけれど、試し書き用の数本だけでは伝わりにくい。しかも、模様に個体差があるという特殊な筆記具ならではのパッケージ。

 普及価格で、普段使いのシャープペンシルで、でも、素材から機能、デザイン、プロモーションまで、見事に一貫したコンセプトで作られている筆記具は、普通分かりやすい製品になっているはずだけど、ここまでやってなお「使ってみて初めて分かる」製品になっているというのが、とても面白いし、素晴らしいと思う。そして、すごいことに、買って手にして、使っていれば、簡単に魅力は伝わるし、ついつい手にしてしまうくらい、その持ち心地がクセになる。製品名が「(シャープペンシル)FUMI」なのだから、きっとボールペンも発売されるだろう。それがとても待ち遠しい。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る