で、結局いつメモリ供給が回復するのか
気になるのは、この状況はこの先どうなっていくのかという点だ。直近で言えば26年いっぱいは回復する可能性は非常に乏しいし、恐らく27年前半までこのまま突き進むだろう。
現在メモリメーカー各社は増産に向けて設備増強に余念がない。例えば米Micronは3月、台湾PSMCのFab P5を買収した。工場を新設するには数年単位の時間がかかるので、既存の工場を買収して中の製造設備を入れ替えることで、なるべく早く量産を開始しようという話だ。しかし、それでも量産開始は28会計年度(27年9月〜28年8月)になるとしている。つまりまだ1年半近く先になるわけだ。
韓国Samsungは2月、同社が韓国京畿道・平沢に保有するFab P4にDRAMラインを増設、DRAM生産能力を最大18%引き上げると報じられたが、これも実現するのは28年あたりだろう。韓国SK Hynixも京畿道・龍仁の半導体クラスタ(建設中)に21兆6000億ウォンの追加投資を行った事が2月に報じられた。
しかしこちらもSamsung同様量産に入るのは早くて28年、実際はもう少し後かもしれない(追加投資は2030年までの期間で行われる)。要するに生産能力増強がまるで追いついていない状況であり、少なくとも供給状況の改善が27年中に果たされる可能性は非常に薄いと言える。
他に変動要因があるとすれば、AIバブルの崩壊だ。エージェントAIのコストはどんどん上がっており、それもあって主要なAIサービスは無料枠の縮小とか有料枠の値上げなどが続いている。上がっている、というよりも当初から赤字というか持ち出しでサービスを始めた訳だが、その理由はまず顧客をつかむためだ。
そしてつかんだあとは値上げを行って持ち出した金額の回収を図る。同様のシナリオそのものはAIに限らず多くのサービスでよく見かけるものだが、エージェントAIの場合は設備投資と運用コスト(主に電気代)の両方でその持ち出し額の桁が違う。
資金が続く間はそれでも回るだろうが、何かしら資金ショートが起きた瞬間、ドミノ倒し的にAIバブル崩壊となっても不思議ではない。これが発生すれば、一瞬にしてDRAMの需要が減り、コンシューマーに回るDRAMの量も潤沢になるだろう。
ただし今度は、AI需要が当面続くと見込んで猛烈な設備投資を行っていたメモリメーカーが供給過剰に陥る。業界的には突発的なバブル崩壊ではなく緩やかに需要が減っていってほしいところだろう。ただ、過去にそういう軟着陸に成功した事例は非常にまれであることを考えると、厳しい希望かもしれない。いずれにせよ、残念ながらPCマーケットは冬の時代がしばらく続きそうだ。
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