「ChatGPTにうちの会社が出てこない」──採用担当を悩ます“AI就活時代”の容赦なき実態(3/3 ページ)
採用やHRの界隈で、じわじわと語られ始めている問題意識がある。就活生、それも優秀な層ほど、キャリア相談をLLMにするようになった。その結果、Web上での露出が乏しくLLMO対策をしていない企業は、学生から“見つけてもらえなく”なってきている――というものだ。
企業ができるLLMO対策とは何か
だからといってLLMO対策から目を背けていいわけではありません。こうした状況下で企業として打てる手は何か。LLMに正しく認識してもらうための施策は、実はSEO時代から続く「情報をきちんと出す」ことの延長線上にあります。
LLMOを巡っては、企業側の関心も高まっています。デジタルマーケティング支援事業を展開するLANY(東京都渋谷区)による経営者・役員への調査では、LLMOに「取り組んでいる」「検討中」が合わせて86%、生成AIに自社サイトが引用・参照されることに「関心がある」が83%にのぼりました。
LLMOを「生成AI時代のSEO」と位置付け、AIに選ばれるために今何ができるかを問う議論も出てきています。需要があるということは、それだけ「AIに見つけてもらえない」課題が現実化しているということでもあります。
ポイントを整理すると、次のようになります。(1)構造化データ(Schema.orgに準拠した求人や候補者向けFAQ)を整備してAIが内容を読み取りやすくすること、(2)実名インタビューや具体的な実例、一次情報を見える化してE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を高めること、(3)結論を先に書きFAQを充実させるなど、AIから引用されやすい構造にすること、(4)就活サイトやメディアでの被リンク・言及を増やして外部露出を確保すること、(5)そして、週に一度でも実際にAIへ「○○ インターン おすすめ」と聞いて、自社が出てくるかを測定し改善し続けること──です。
ただ、ここで考えたいのは、これらの施策が結局のところ「良質な一次情報を継続的に出す」ことに集約される点です。小手先のテクニックでAIを欺くのではなく、自社のことを正確に、丁寧に発信し続ける。LLMO対策の本質は、奇策ではなく地道な情報発信にあります。
それでも「選ばれない=終わり」とまでは言えない
最後に、冒頭の言説に戻ります。「採用にもLLMOが必須」は本当でしょうか。
筆者の整理では、半分正しく、半分は誇張です。
事実なのは、就活生の相談相手がLLMに移りつつあり、AIの回答が進路を動かし始めている点です。ここで自社がまったく言及されないとすれば、候補者との最初の接点を失うリスクは確かにあります。Web露出を絞ってきた企業ほど、この影響は表れやすいでしょう。
一方で誇張なのは、「LLMOさえやれば採用が回復する」という期待です。応募減の裏には採用枠そのものの縮小がありますし、LLMがハルシネーションを抱えたままでは、情報汚染も広がっていきます。LLMO対策で順位を上げることと、採用が成功することはイコールではありません。
軸はおそらく2つ。1つ目は「自社はAIにどう見えているか」を一度実測してみることです。複数のLLMに自社や自社の業界を尋ね、何が出てきて何が出てこないかを確認する。これは無料で今日からできます。
もう1つは、それを露出施策の問題と捉えるか、採用戦略全体の問題と捉えるかを切り分けることです。AIに出てこないことが本当のボトルネックなのか、それとも採用枠や訴求内容そのものに課題があるのか。ここを混同しないことが、限られたコストを正しく配分する出発点になります。
LLMは、既知の領域では頼れる相棒に、未知の領域ではもっともらしいうそつきになります。だからこそ企業に求められるのは、AIを出し抜くことではなく、AIに正しく引用される「良識のあるアウトプット」を出し続けること。情報汚染が広がる時代に、それが結局のところ最も確実なLLMO対策なのだと思います。
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