「SaaSの死」は起こっていない? 2つの調査から見えてきたAIで代替できない、代替すべきではない業務:小寺信良のIT大作戦(4/5 ページ)
米AnthropicがClaudeベースの業務エージェント機能を発表したことで、SaaSのユーザーが激減する、いわゆる「SaaSの死」が起こるのだという説が息を吹き返した。では実際にそのような変化は起こっているのか。最近こうしたことを調査した例が2件ある。
仕事は、AIに代替すべきか
エージェンティックAIは登場したが、それを活用するには何らかのアプリケーションが必要である。ローカルでもいいしSaaSでもいいが、AIが扱える相手が必要だ。よって手作業や紙作業が残っている現場では、まずDXしなければならない。
KiteRaの調査では、日本の社会はSaaSの利用率は高いが、分野別で温度差があることがわかった。加えてAIエージェントによる自動化は、それほど進んでいないという実態が見て取れる。これを遅れていると見るのか、妥当と見るのか。
ここでエイトレッドの調査のほうを見てみよう。AIの進化を受けて、利用中のSaaSの見直しを実施した、あるいは見直しの可能性がある領域として、「プロジェクト管理・タスク管理」「営業支援」「Web会議・オンライン商談」の比率が高い。
一方でAIでは代替が難しい分野として、「チャットツール・コミュニケーション」がトップではあるが、見直し領域として高順位だった「プロジェクト管理・タスク管理」「営業支援」「Web会議・オンライン商談」も入っている。つまりこれは、「営業支援」「Web会議・オンライン商談」は今のSaaSじゃダメだが、AIが理由じゃないということだろう。
特にAIで代替できない、あるいは代替すべきではない領域として、63.5%の担当者がガバナンス系SaaSは「AIで代替できない・すべきでない」と認識している。
またその理由としては、
- AIの判断ミスが重大なリスクにつながるから:52.9%
- 承認や決裁には人間の判断と責任が必要だから:50.0%
- 監査証跡や履歴の厳密な管理が求められるから:48.5%
となっている。
つまり、あえてAIを入れない領域が見えてきているという結果が見える。大枠で判断するならば、人間を扱う分野にはAIは入れづらいということだ。意外なことに、データをAIに学習されると困るといった点は目立った理由にはなっておらず、学習リスク以前の問題であるということがうかがえる。
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