16:9ではないディスプレイの世界――多種多様「LEDビジョン」に映す映像をどうネットで伝えるか:小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(1/2 ページ)
ネットワークの祭典「Interop Tokyo 2026」に、放送機材メーカーがずらりと出展した。例年とは異なるこの光景の裏には、会場を埋め尽くすLEDビジョンの存在がある。正方形を積み上げた巨大ディスプレイは、もはや「16:9」に収まらない。放送規格の中で進化してきた映像機器は、この“規格外の画面”とどう向き合うのか。
6月10日から12日、幕張メッセにて「Interop Tokyo 2026」が開催された。インターネット技術の総合イベントで、ハードウェアにしてもソフトウェアにしても、インターネットインフラを支える側の人たちが集う展示会という印象が強い。
ところが2026年は若干の変化が見られた。数年前から展開してきた「Network x Media Summit」枠が拡大され、Hall8にはもともと「Inter BEE」など放送機材展に出展するような、豪Blackmagic Design、米Grass Valley、Panasonic Connect、リーダー電子、朋栄といった企業がブースを構えた。どのメーカーも、放送局向けのクラウドソリューションを抱えている。
Inter BEEは比較的ハードウェア重視の展示会であるため、クラウドソリューションは来場者の興味と若干ズレがある。しかしInteropに来るような来場者には、こうしたハイエンドソリューションはドンピシャにハマったようで、放送は分からないがネットは分かるみたいな人たちがゴリゴリに食いついていたのが印象的だった。
またHall8を埋めていたのは、膨大な数のLEDパネルである。同時開催として、「デジタルサイネージジャパン2026」が開催されていたためだ。もちろんほとんどが中国メーカーだが、さまざまなサイズや特性を持つディスプレイが、ものすごい光量で場内を照らしていた。
デジタルサイネージは、ネットワークソリューションとして語られることが多い。ただ、LEDビジョンに何をどうやって映すのかは、プロAVの領域である。ここには、放送規格の中で進んできた映像ソリューションとは違う技術が必要である。
16:9ではないディスプレイの世界
LEDビジョンの多くは、正方形に分割されたユニットを縦横に組み上げることで大型化している。中には設置効率を上げるために、最小ユニットを正方形2個、つまり2:1サイズにまとめたものも登場している。
だが基本的に正方形を積み上げていくわけだから、映像信号として一般的なアスペクト比16:9にするためには、横16個、縦9個を積み上げなければならない。
だがそうそう都合よくそのサイズのディスプレイとしてハマる現場というのはほとんどなく、現実的には現場の空間を埋める格好で縦横に組まれることになる。つまりほとんどのLEDビジョンは、16:9とはまったく無関係なアスペクト比になる。
またアスペクト比だけでなく、解像度も関係する。映像信号は一般的に放送規格に合わせて1920×1080か、3840×2160のいずれかになる。しかしLEDビジョンの場合、解像度は組み上げるユニット数によるので、必ずしも縦や横がこの解像度になるとは限らない。
LEDビジョンの入力には、LEDビジョンコントローラーが必要になる。ただコントローラー側では、必ずしも映像の拡大縮小や特定範囲の切り出しに対応しているとは限らない。
一方で、複数の映像を切り替えたり合成したりするには、ライブスイッチャーを使用するのが一般的だ。しかしライブスイッチャーはそもそも放送、あるいはテレビをベースに作られており、解像度はHDか4K、アスペクト比はほぼ16:9しかサポートしない。一部PC画面が入力できるように、入力側にスケーラーを備えたものもあるが、出力は16:9の1920×1080か、3840×2160で行うのが普通である。
一部には縦長映像の入出力、すなわち9:16に対応したスイッチャーもある。これは映像制作がスマートフォン向けに縦長化していく過程にあるものと思われる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


