Netflix「今年配信の約300作品で生成AI活用」 制作は2倍速で制作費は半額の実例も
Netflixは4〜6月期決算発表で、コンテンツ制作におけるパートナーの生成AI活用が急速に拡大していると明らかにした。2026年には約300本で生成AIワークフローが使用される見込み。ポストプロダクション工程での活用が中心で、従来手法の2倍の速さ、半分のコストで制作できた事例もあり、制作への再投資に回す考えを示した。
米Netflixは7月16日(現地時間)、第2四半期(4〜6月期)の決算発表に合わせて公開した株主向け書簡で、コンテンツ制作におけるパートナーの生成AI活用が急速に拡大しており、2026年に生成AIワークフローを使用した作品は約300本に上ると明らかにした。最も活用が集中しているのはポストプロダクション(撮影後の編集・仕上げ)工程という。
AIツールによって従来手法を上回る高品質な出力を、迅速かつ低コストで実現できていると説明。AIの活用がなければ、重要なショットやシーケンスの制作を断念せざるを得なかった作品もあったという。具体例として、インドのクライムサスペンス作品「Glory」(邦題「グローリー」)や米国のドキュメンタリーシリーズ「The American Experiment」(邦題「アメリカン・エクスペリメント 建国250年に想う」)を挙げ、群衆シーンや歴史上の戦闘シーンなどの複雑なシーケンスの制作にAIを活用したという。業績発表後の電話会見でテッド・サランドス共同CEOは、「The American Experiment」にはAIで強化した映像が17分含まれ、従来手法の2倍の速さ、半分のコストで制作できたと説明。これにより「従来では実現できなかった形でシリーズの規模を拡大できた」と述べた。
サランドス氏は、「偉大な作品を作るには偉大なアーティストが必要であり、AIがそれを変えることはない」とし、AIによるコスト削減分は制作費の圧縮ではなく、コンテンツへの再投資に回る可能性が高いとの見方を示した。
コンテンツ制作以外でもAI活用は広がっている。作品との出会い(タイトルディスカバリー)の改善や会員の好みの理解にLLMを活用しているほか、音声検索やAIによる自然言語検索も導入を進めている。広告事業では、第2四半期にプランニングやクリエイティブ制作からキャンペーン管理、最適化、レポーティングまで、広告ライフサイクル全体にAIツールを拡大したという。
同社の第2四半期の売上高は前年同期比13%増の125億5900万ドル、純利益は34億100万ドル(1株当たり0.80ドル、前年同期は0.72ドル)だった。2026年上半期の総視聴時間は前年同期比2%増の970億時間超だった。第3四半期は売上高128億6000万ドル(前年同期比11.7%増)、営業利益率33.2%を見込み、通期売上高予測は510億〜514億ドルに絞り込んだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
Netflix、「VOGUE」「Rolling Stone」など著名メディアの動画を配信へ
Netflixは、BuzzFeedやRolling Stoneなどのデジタルメディアの動画コンテンツを配信すると発表した。料理や音楽、ファッションなど幅広いジャンルの短編動画がアプリ内で視聴可能になる。対象は米国など6カ国で、全ての契約プランの会員が追加料金なしで楽しめる。今後も提携先を拡大する方針だ。
WBC独占配信のNetflix、期間中に「eo」通信量10倍に 需要押し上げに効果
3月に東京など世界各地を会場に開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を米Netflixが日本で独占生配信した結果、関西電力グループのオプテージが提供する光回線サービス「eo」で大会期間中、動画配信サービス向け通信量が通常時の約10倍に達したことが分かった。
“全編AI制作”でコスト9割減を実現したViglooに聞く韓国ショートドラマ事情 「視聴者は制作方法で作品を選ばない」
SFXは100%、音響効果は85%──。韓国のショートドラマ配信「Vigloo」は制作のほぼ全工程に生成AIを取り入れ、費用を9割超・期間を3分の1に圧縮した。AIディレクターへの取材と、配信中のフルAI作品を実際に観て見えてきた“現在地”とは。
ピクサー出身のアニメ監督とGoogle DeepMindがタッグ 生成AIを使った短編アニメを制作
Googleが短編アニメ映画「Dear Upstairs Neighbors」を米サンダンス映画祭でプレビュー上映する。ピクサー出身監督とGoogle DeepMindの研究者がタッグを組んだもので、動画生成AI「Veo」と画像生成AI「Imagen」を制作に活用した実験的作品となる。

