東芝のTablet PC第二世代はCentrinoとSXGA+でパワーアップレビュー(2/3 ページ)

» 2004年01月15日 12時49分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 結果、一部に高解像度化への要求はあるものの、ニーズやコストなども鑑みて12.1インチクラスにはXGAまでの製品しか存在しなかった。しかしタブレットPCとなると、多少要求が変わってくる。小さな文字の書き込みや複雑な漢字を書きたい場合などは、12.1インチXGAだと精細度が足りないと感じる。筆圧検知機能をオンにして文字を書く場合には、なおさら筆致のディテールに不満が出てくる。10.4インチクラスならXGAでも良かったが、12.1インチになるとSXGA+の高精細さが生きてくる。

 実際、本機に手書きでメモを書き込んでみると、より紙に文字を書く感覚に近く感じ、細かな書き込みの判別が容易に感じる。もっとも、その反面でデメリットもある。本機がピュアタブレット型ならば不満は無かったろう。しかしM200はノートPCとしても利用可能なコンバーチブル型だ。当然、キーボードを用いて使う場合には、解像度が高すぎてしまう。

 ちなみに15インチUXGAが約133PPIなので、144.6PPIの本機が使えないほど細かすぎる、とは言わない。より高解像な液晶パネルを求めるユーザーならば、むしろ歓迎することだろう。XGAとSXGA+の情報量の差は圧倒的で、文字の細かさを許容できるなら(あるいはフォントサイズを大きく設定するのがいやじゃなければ)、こちらを使いたいと思うかもしれない。

 ただ本機には「Smooth View」というソフトウェアが搭載されている。Smooth Viewは、InternetExplorerやOfficeなど、いくつか対応しているアプリケーションの表示を拡大縮小するためのユーティリティだ。単に拡大縮小だけならば、IEやOffice自身が対応しているが、Smooth Viewを使うとIEのページ表示がビットマップデータごと大きくなるところがポイント。表示レイアウトを崩さずに拡大表示させることが可能だ。

Smooth View

タブレットとしての使いやすさを考慮

 もっとも、細かく見ていくと上記に挙げた大きな二つの仕様変更以外に、いくつもの改良が施されていることがわかる。たとえば液晶を支える支柱とその付け根のジョイントは、以前から良好な仕上げだったが、SS3500の場合支柱部分が急に出っ張っていたが、SS M200ではなめらかな曲線で覆われている。

 またタブレット部表面の仕上げが絶妙で、消しゴム機能付きの持ちやすいスタイラスとともに文字がとても書きやすい。タブレットPCのタブレット表面は、なめらかなで滑りの良い素材になっていることが多いが、少々滑りが良すぎて書きにくいものもある。ところが本機の場合、ほとんどわからないほどの細かな凹凸が表面にあるのか、紙に鉛筆で書いている、というほどではないにしろ、適度な指へのフィードバックが感じられる。さらに液晶の上にかぶせてある保護カバー部が薄く、視差が少ない(保護カバー部を売りにしていたNECのピュアタブレットタイプと比較してもさらに薄い:東芝談)ことも書きやすさを向上させているようだ。

 ジョグシャトルの装備や液晶パネルの脇に配置されたプログラム呼び出し用のタップエリア「タブレットペンボタン」など、タブレット型にした時の使いやすさに配慮した設計が印象的だが、その中でももっとも特徴的なのが、加速度センサー内蔵による画面の向きの自動検知・切り替え機能および、アプリケーション起動機能だろう。

写真の画面右側に4つあるのが「タブレットペンボタン」
SS3500ペンは液晶側面に収納する関係上、ペンの柄に一部平面部があるものだったが、今回は普通の円筒形のペンの柄となり、持ちやすさが向上している

 この加速度センサーは、現在本機が向いている向きを加速度センサーが検知して、ボタンを押すことで画面の向きを修正する。今までのタブレットPCは画面表示を90度づつ変更できるものが多かったが、それだと最悪3回操作しないと、向けたい方向に画面を切り替えることができなかった。それが必ず1回で済むことになる。

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