東芝のTablet PC第二世代はCentrinoとSXGA+でパワーアップレビュー(3/3 ページ)

» 2004年01月15日 12時49分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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 またもう一つの加速度センサーを応用した機能によって、本体を縦、横に振ったことを検知して、それぞれの動作に応じてあらかじめプログラムしておいたソフトウェアが起動する。タブレット型で使っているときの不便さを排除しようという狙いだが、縦方向には振りやすいが横方向には振りにくい。利き腕と反対の腕で抱えて本体を振るため、肘を軸に振れる縦方向は自由度が高いものの、下腕を捻るようにしなければならない横方向は動かしにくいためだ。

 もちろん、両腕で振れば簡単に操作できるが、そのたびに持ち直すのも使いにくい。アイディアとしてはおもしろいが、実際の使いやすさにはそれほど貢献していないように思う。

独自の文字認識モジュールを搭載

 “東芝らしさ”はハードウェアとしての完成度の高さや新機能でも十分に出ているが、むしろプリインストールソフトの良さという形で感じている。中でも東芝独自のソフトウェアとして搭載している「TOSHIBA InputAid」が使いやすい。

 InputAidはひらがな、アルファベット、数字の入力に特化した入力枠ありモードと、入力枠なしで自由に筆記できる入力枠なしモードがある。

 入力枠ありモードは左右二つの入力枠があり、それぞれ左がひらがなとアルファベット専用、右が数字と記号専用に利用する。枠内には認識タイミングを意識せず、次々に文字を重ねて書くだけで入力が可能。枠の用途と文字種を限定しているため、認識ミスが非常に少なく、効率的な手書き文字入力が可能だ。入力枠なしモードは枠を意識せずに入力できるため、特にアルファベットの入力時にストレスが少ない。

 またログオンパネルに独自の文字認識機能「東芝サインログオン」も採用されている。これは登録した手書きサインを認識、本人確認を行うもの。筆致の癖を認識するため、登録サインと似たような文字を書いてみてもログオンできないが、登録した本人ならば認識ミスも少なく簡単にログオンすることができる。

 「クロスメニュー」は、タブレット型時に利用するEnterキー入力のボタン(クロスファンクションボタン)を長押しすることで呼び出されるメニュー。ジョグシャトルでも簡単に操作可能で、登録したアプリケーションや機能の呼び出しや、各種設定などの操作を手早く行うことが可能だ。

 また本機だけでなく、無線LANを内蔵するすべてのDynabookに搭載されているソフトウェアとして、ネットワーク切り替えソフトのConfigFreeがある。ConfigFreeは様々なネットワーク設定をプロファイルとして登録し、自由に切り替えるユーティリティ。同種のソフトウェアは多数あるが、Bluetoothと無線LANを統合し、わかりにくい無線接続の様子を視覚的に示しながら接続設定を行える点が斬新だ。接続できない場合のトラブル対応も、画面上でわかりやすく指示するなど、単なるネットワーク切り替えユーティリティとは一線を画している。

幅広い目的で使えるビジネスモバイル機

 本機はJEITA測定法で約5時間(6セル48ワットバッテリ搭載)と、ビジネスモバイル機に必要とされるバッテリ容量を確保。タブレットやコンバーチブルメカ、冷却機構などにより重さは2.1キロとシングルスピンドル機の中では重量級の製品だが、車での外出が多い人や社内移動が中心のユーザーには向いている。

 アイディアベースで仕事をするユーザーには、通常のノートPCよりもタブレットPCの方が向いていると言われるが、かといってノートPCやデスクトップPCを捨てられるわけではない。ノートPCとして使おうと思い始めると、10.4インチでは小さすぎ、14.1インチだとタブレット時に腕に抱えにくい。つまり本機の12.1インチSXGA+、フルサイズキーボードというのは、バランスの良い組み合わせだ。

 通常電圧版のPentium Mを搭載することで発熱を気にする向きもあるだろうが、本機に関しては腕に抱えているときにも熱さを感じることは無かった。タブレット型にした時はキーボードからの廃熱が期待できないため、通常のノートPCよりも冷却条件は厳しくなるのだが、本機はそうした要素も感じさせず、冷却時の騒音なども気にならない。

 解像度の高さがノートPCとしての使い勝手の鍵になるため、その点は(可能ならば)実機で確認する必要はあるだろうが、現時点でもっとも完成度の高いコンバーチブル型タブレットPCであることは間違いない。

ノートPCモードでもピュアタブレットモードでもLEDが見えるよう、なんと同じLEDを2セット搭載した

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