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» 2005年02月25日 17時30分 公開

インタビュー:初のコンシューマー向けTabletPC「dynabook R10」のマーケティング戦略を聞く (1/2)

東芝の「dynabook R10/170L7」が、ついに先週末より販売開始された。日本初のコンシューマー向けTabletPCであるdynabook R10は、一般の消費者がおそらく初めて目にするであろうTabletPCでもある。そのdynabook R10をいかにして一般消費者にアピールしていくのか。東芝の担当者にマーケティング戦略を聞いた。

[平澤寿康,ITmedia]

ベースはあくまでもノートPCで、タブレットはプラスアルファ

 日本初のコンシューマー向けTabletPCとして発売された東芝の「dynabook R10/170L7」(以下、dynabook R10)。一般的なノートPCとは異なる機能を持つ製品なだけに、これまでとは違うマーケティング戦略や販売戦略が必要になると思われる。そこで、dynabook R10のプロダクトマーケティングを担当している同社PC第一事業部PCマーケティング部プロダクトマーケティング担当の根岸伸一氏に、dynabook R10の開発経緯や販売・マーケティングに関する戦略などについて話を伺った。

東芝PC第一事業部PCマーケティング部プロダクトマーケティング担当の根岸伸一氏

ITmedia 今回発売されたdynabook R10は、日本では初のコンシューマー向けTabletPCとして位置付けられていますが、なぜこのタイミングで市場に投入しようと思われたのでしょうか。

根岸 東芝はTabletPCを過去に2モデル、ビジネス用途向けに発売しています。それらの販売活動の過程で、ユーザーなどから「お絵描きなどでの需要もあるだろうから、家庭向けに出してみては?」といった声をいただいたことがありました。

 また、デジカメユーザーが撮影したデータを加工するといった用途で外付けのタブレットが好調に売れ、それによってタブレット対応アプリケーションもかなり増えてきています。さらに、最近では小学生もPCを授業で扱うことが増えたため、家庭でPCを使うユーザー層が小さなお子様にもかなり広がってきている、といったこともあります。こういったユーザー層はペンの価値を良く理解いただける方々であり、今回家庭用のTabletPCを出す直接的なきっかけとなりました。

ITmedia 家庭用のTabletPCということですが、どちらかというと従来のノートPCに近いスペックのようですが。

根岸 TabletPCとは言っても、やはりベースはノートPCでなければならないと考えていますので、まずはノートPCとして必要十分なスペックを満たしたうえで、プラスアルファの要素として「ペンが使える」ということを最も重要なポイントとして考えています。ですから、一般的なノートPCに負けないスペックを実現しています。

 例えば、企業向けに発売したTabletPCは、モバイル業務用途ということもあって12.1インチの液晶ディスプレイを搭載していましたが、家庭でいろんなことを楽しんでもらえるようにするには液晶サイズは14〜15インチクラスは必要だろうということで、dynabook R10は14インチのものを採用しています。

 また、小さなお子様が利用する機会が多くなると考えられますので、本体を落とすといったトラブルも増える可能性があります。そこで、dynabook SSシリーズで採用したプロテクト機能のうちのいくつかを実装して、そういったトラブルに備えています。

 価格も重要で、一般のノートPCよりも大幅に高いようではユーザーの方に受け入れていただくのは難しいので、他のノートPCと同等の価格にするという部分もかなり意識しました。

ITmedia 無線LAN機能によって家庭内のどこでもネットワークにつなげて利用できますし、DVDスーパーマルチドライブ(DVD+R DL対応)を搭載しているのでマルチメディア能力も問題ないようにできていますね。

根岸 無線LANに関しては、家庭内で利用する場合、どこに持って行ってもネットワークに接続して使えるということが必須条件と言ってもよいほどになっているので、もうこれはなくてはならない機能でしょう。また、DVDスーパーマルチドライブに関してもそうですが、とにかく機能面は、他のノートPCと比べて見劣りする部分がないようにしています。

 タブレットという特徴があっても、他のノートPCと比べた場合に機能面で見劣りするようでは、ユーザーも悩んでしまうと思います。とにかく、売れ筋価格帯のA4ノートPCにタブレットの機能が追加されている、という部分が重要なのです。そういった意味でも、あくまでもノートPCがベースというわけです。

ITmedia 20万円を切るという価格でこの機能を実現するのは非常に大変だったと思いますが。

根岸 通常は、開発段階でコストとスペックとで折り合いを付けながら落としどころを見つけていくことになるのですが、dynabook R10については、まずスペックを決めて開発が始まりました。ですので、コストに関しては結構大変でした。ただ、スペック部分は1つのこだわりでもありますので、なんとか実現しました。

 比較対象としては、最新スペックの一般ユーザー向けノートPCを購入し、A4サイズぐらいの外付けタブレットボードを買い、タブレット対応のPhotoshop Elements 3.0などのソフトを買い揃えて同じような機能を実現した場合よりも安く、というのを目標にしていましたが、その点は確実に実現できていると思いますし、価格面は満足していただけると思っています。

dynabook R10の広報用写真でも、家族みんなのTabletPCであることを強くアピールしている

ペンとアプリケーションで何ができるのかを訴求

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