オーバードライブ搭載のスタンダード19インチ液晶ディスプレイ──ナナオ「FlexScan S1910-R」(2/2 ページ)

» 2005年06月02日 00時00分 公開
[林利明(リアクション),ITmedia]
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 また、従来モデルと同じように、用途に応じたプリセット設定の「FineContrast」も搭載する。FineContrastのモードは、「Text」、「Picture」、「Movie」、「Viewer」、「WindowMovie」、「Custom」、「sRGB」だ。各種モードは本体ボタンで切り替えるほか、ScreenManager Pro for LCDの「オートファインコントラスト」機能を使うと、起動したアプリケーションに応じて自動的に切り替えるように設定できる(あらかじめアプリケーションと使用モードを登録しておく必要がある)。

 画質調整の項目とFineContrastのモードは、アナログ入力とデジタル入力で個別に記憶される。デジタル入力で設定をいじっても、アナログ入力の既存設定はそのままだ(その逆も同じ)。通常、PCやグラフィックスカードの特性や用途によって、アナログ入力とデジタル入力では最適な設定は異なるため、2系統入力に対応した液晶ディスプレイでは、設定の個別記憶は欲しい機能の1つだ。

 筆者が液晶ディスプレイを評価するときは、必ずこの機能の有無をチェックするのだが、2系統入力の設定が完全に独立している製品は少ない。日頃の使い勝手に影響するところなので、液晶ディスプレイを比較検討する場合はぜひ注目してほしい。

 なお、S1910-Rの最大解像度はSXGA(1280×1024ドット)だが、SXGA未満の解像度は常にフルスクリーン拡大となる。解像度のアスペクト比を保った拡大や、等倍表示には対応していない。とはいえ、フルスクリーン拡大のスムージング処理が自然なので(調整も可能)、大きな違和感なく使える。

安定した高画質でいろいろな用途に向く

 S1910-Rの画質は、基本的にはS190と同等だと考えてよい。sRGBモードの色調が比較的正確で、内部10bitガンマ補正のおかげで階調表現力もまずまずだ。輝度設定による色相のズレや階調の大きな欠落も確認できず、普及クラスの製品としては間違いなくトップクラスといえる。

 ただし、同社の上位製品に比べると、視野角による色変化は大きめだ。正面から上下左右に視点を移動させていくと、割と浅い角度で中間調の彩度低下が始まる。静止画だと目立ちやすいが、一般的なアプリケーションや動画なら静止画ほどは気にならない。

 動画の表示能力は、やはりオーバードライブが効いている。筆者が日常使用しているオーバードライブなしのS170と並べて比較すると、はっきり分かるレベルだ。S170の応答速度(黒→白→黒)は25msで、これくらいの速度になれば「残像」はまず発生しないが、それでもややぼんやりした感覚は残ってしまう。対するS1910-Rでは、動きが激しいシーンでも輪郭のシャープ感が保たれ、キリッとしたイメージだ。M170を試用したときも感じたことだが、スポーツ、映画、アニメといった映像や、ゲームも快適に楽しめる。

 S1910-Rは、オプションの液晶保護パネル「FP-702」にも対応している。保護パネルはリバーシブルになっており、片面はノングレア処理、もう片面は光沢処理だ。S1910-R自体はノングレア処理だが、保護パネルを光沢面側で取り付けることで、静止画や動画の見栄えをよくできる。

 なおS1910シリーズには、追加料金の負担なしでナナオが液晶ディスプレイの回収・再資源化を行う「PCリサイクルマーク」が付いたS1910-Rと、付いていないS1910の2製品がある。PCリサイクルマークなしのS1910にはDVI-Dケーブルは付属していない。発売は両製品とも6月24日(金)となっている。

 ボディカラーはそれぞれセレーングレイとブラックがあり、PCリサイクルマーク付きのS1910-Rのみ、EIZOダイレクト限定モデルとしてシルバーが用意される。

S1910-Rのセレーングレイモデルとブラックモデル。EIZOダイレクト限定でシルバーモデルも用意される

 PCリサイクルマーク付きモデルであるS1910-RのEIZOダイレクト価格は8万4800円で、7万9800円のS190とは5000円しか違わない(いずれも税込み)。オーバードライブ搭載による映像の表示品質を考えれば、かなりお買い得だ。液晶保護パネル「FP-702」とスクリーンクリーナー、フレキシブルアーム(2軸1リンク式の「LA-120-A」または3軸1リンク式の「LA-130-A」)をセットにした「EIZOダイレクトパック」も用意される。詳細は以下の通りだ。

パック内容価格(税込み)
S1910-R+液晶保護パネル「FP-702」+スクリーンクリーナー8万6900円
S1910-R+液晶保護パネル「FP-702」+スクリーンクリーナー+フレキシブルアーム「LA-120-A」9万5300円
S1910-R+液晶保護パネル「FP-702」+スクリーンクリーナー+フレキシブルアーム「LA-130-A」9万7400円

 さらに、BOSEのマルチメディアスピーカーシステム「Companion 3」とのセットモデルが6月1日〜8月31日の期間限定で、EIZOダイレクトで販売されることにも注目したい(詳細は「EIZO×BOSEコラボレーションキャンペーン」を参照)。

「BOSEコラボレーションキャンペーン」セットに付属するBOSEのマルチメディアスピーカーシステム「Companion 3」

 Companion 3は、マイクロキューブ(ステレオスピーカー)×2と、ベースモジュール(ウーファー)×1、コントロールポッド(コントローラ)で構成されたスピーカーシステムだ。多チャンネルのサラウンドシステムではないが、画面からの近距離、および3m程度の中距離に最適化されており、高音質で定評がある。S1910-Rとのセットモデルは9万9800円なので、Companion 3の希望小売価格が3万4650円であることを考えると、約2万円もお得だ(いずれも税込み)。これならば、PCのAV環境にこだわる人でも満足できるのではないだろうか。

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制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2006年3月31日