繰り返しになるが、画面の色を正しく評価するには環境光が重要だ。そして、一般的な蛍光灯は色の評価に不向きどころか、悪影響を及ぼす。デジカメのホワイトバランスに蛍光灯モードがあるのも、これと同じ理由だ。
一般的な蛍光灯は、光のスペクトルが特定の波長に偏っているため、画面の色を違って見せてしまう。違和感なく見えるのは、人間の目と脳が高性能なホワイトバランス機能を備えているからだ。どんな環境光の下にあっても、人間は記憶色を頼りに自動脳内補正するため、感覚的には色が狂っているようには見えない。
色の評価に適した蛍光灯というのは、「演色性」という仕様が「AAA」である蛍光灯だ。詳細は省くが、高演色性の蛍光灯は、光のスペクトルの偏りが小さい。具体的な製品では、松下電器産業の高演色性蛍光灯「リアルクス」が定番で、東芝や三菱電機なども同様の蛍光灯を販売している。取り寄せになるショップが多いのは難点だが、「高演色AAA昼白色」というフレーズを参考に探してみてほしい。1本あたり1000円前後で購入でき、取り付け器具と合わせても1万円〜1万5000円くらいだろう。「高演色AAA昼白色」の蛍光灯が無理な場合は、「3波長型の昼白色タイプ」を使いたい。
また、環境光の状態を手軽にチェックできる「演色性検査カード」も用意しておくとよい。環境光の色温度によって、本来ならニュートラルグレーであるはずの部分が、赤みや青みを帯びて見える。こちらも1000円程度で、カメラショップや写真ショップで取り扱っている。評価光源によって「D50」と「D65」という2種類があるが、通常は「D65」を選ぶ。「D50」は印刷用だ。
測色センサーとは、ディスプレイ画面の色を機械的に測定する機器だ。ディスプレイごとの発色特性を測定し、それに合わせたプロファイルを作成するソフトウェアとセットになっていることが多い。プロファイルの精度が高い順に並べると、測色センサーで作成したもの、液晶ディスプレイのメーカーが配布するもの、Adobe Gammaで作成したもの、となる。ワンランク上のカラーマネジメント環境を目指すなら、測色センサーは必須だ。
測色センサーも、機能や性能によって価格の幅が非常に大きい。個人使用なら、5万円以下の製品を目安に考えよう。具体的な製品をいくつかピックアップしておく。
製品名 | メーカー/ベンダー | 価格 |
Eye-One Display 2 | GretagMacbeth/恒陽社グラフィック事業部 | 3万9800円 |
Monaco OPTIX XR | X-Rite/日本シイベルヘグナー | 5万2250円 |
Spyder2 | ColorVision/ソリューションシステムズ | 3万8850円 |
以上、カラーマネジメント全体の中ではほんの一部だが、液晶ディスプレイに関するあれこれを取り上げてきた。Adobe Gammaや遮光フードまでなら、比較的ハードルは低いと思うので、ぜひ取り組んでみてほしい。
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提供:株式会社 ナナオ
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2006年3月31日